Asian Art Award 2017、大賞に山城知佳子。特別賞は谷口暁彦

今年新たに創設された現代美術のアワード「Asian Art Award 2017 supported by Warehouse TERRADA」の大賞と特別賞が9月27日に発表された。5組のファイナリストから選ばれたのは山城知佳子と谷口暁彦。

山城知佳子と谷口暁彦

 今年創設された新たな現代美術のアワード「Asian Art Award 2017 supported by Warehouse TERRADA」は、アートフェア東京を行っている一般社団法人アート東京が主催し、寺田倉庫が特別協賛するもの。

 同アワードは、アジアを起点に今後、国際的な活躍が期待されるアーティストの支援を目的として創設されたもので、小澤慶介(同アワードディレクター、アートト代表)、国枝かつら(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館学芸員)、正路佐知子(福岡市美術館学芸員)、服部浩之(インディペンデント・キュレーター)、山峰潤也(水戸芸術館現代美術センター学芸員)の5名からなる選考委員が、5組のファイナリストを選出。

 TERRADA ART COMPLEX(天王洲)でのファイナリスト展でそれぞれが新作を中心に発表しており、それをもとに秋元雄史(東京藝術大学大学美術館館長・教授、金沢21世紀美術館特任館長)、長谷川祐子(東京都現代美術館参事、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授)、ジョイス・トー(シンガポール美術館キュラトリアルチーム共同代表)、ユー・ヤン(ユーレンス現代美術センター副館長)、高橋龍太郎(精神科医、アート・コレクター)、宮津大輔(アート・コレクター、横浜美術大学教授、京都造形芸術大学客員教授)、林洋子(文化庁芸術文化調査官)らが最終審査を行った。

 ファイナリストとして選出されたのは谷口暁彦、松川朋奈、山本高之、山城知佳子、contact Gonzoの5組。9月27日に行われた審査会では、日本を拠点に活動をしているアーティストをアジア圏のアートシーンに紹介すること、日本の社会状況あるいは文化状況に対して批評的な視点でアプローチし表象していること、またそれが日本のみならず日本を取り巻くアジア圏について新しい視点や洞察を与えていることを軸に、作品の評価が行われた。

 最終審査の結果、大賞に選ばれたのは沖縄を拠点に活動する山城知佳子。山城は今回、「あいちトリエンナーレ2016」で発表した三面スクリーンで構成された映像インスタレーション《土の人》を解体。一面のスクリーンで成り立つ作品へと再構築し、映画としても通用する作品に生まれ変わらせた。

山城知佳子 土の人(劇場版) 2017

 受賞について山城は、「『この作品を通じてアジアの方々とつながっていきたい』と思いを込めてつくったので、それが実現し大変嬉しく思っています」とコメント。涙ぐみながらその喜びを表現した。

 山城には賞金100万円と、副賞としてシンガポールと「アートフェア東京2018」での作品発表の機会が提供される。

 また特別賞は、メディア・アートやネット・アート、映像、彫刻など、さまざまな形態で作品を発表する谷口暁彦が受賞。「類を見ない新作が、かなり濃密な時間をかけて制作できた。それがこういったかたちで評価されて感謝しています。これが次の作品や発表の機会につながっていってほしいなと思います」と話している。

谷口暁彦 何も起きない 2017

 なお同アワードは次回、2018年3月の開催が決定している。

編集部

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