身体感覚を呼び起こす白基調の絵画。畑山太志の画業を網羅する個展「素知覚」に注目

2014年「第1回CAF賞」で優秀賞と名和晃平賞を同時受賞した気鋭の画家・畑山太志。現在、その個展「素知覚」が、東京・外苑前のEUKARYOTEで開催されている(~7月17日)。

展示風景より

 2014年「第1回CAF賞」で優秀賞と名和晃平賞を同時受賞した気鋭の画家・畑山太志。その受賞作品《在り処》をはじめとする白基調の絵画シリーズは、畑山が樹木と対峙した際の体験をもとに制作されている。

 樹齢数百年にもおよぶ樹木から放たれる、目には見えないもののたしかに空気を伝う存在を描いた同シリーズは、畑山の作家としてのキャリアをスタートさせるものとなった。一見白いキャンバスに見えるほど色彩を削ぎ落とし、厳かな存在感のみを緻密に描き込まれたその作品は、平面でありながら空間的体験や身体感覚を呼び起こす。

 何気ない風景の中にある空気感や存在感をとらえる方法を、人の知覚領域の外にも広げるべく、色彩豊かな筆致を重ねることで探究してきた畑山。現在、その個展「素知覚」が、東京・外苑前のEUKARYOTEで開催されている(~7月17日)。

展示風景より
展示風景より

 本展では、再度色彩を除き、畑山にとって「素」ともいうべき白基調の絵画が並ぶ。これまでの作品に通底する触視性=光をキーワードに、本来人間に備わっている知覚の内側と向き合う原点回帰のような展開を見せる。

 1階では、白基調の絵画シリーズの新作を展示。2階では、ここ数年取り組んできたという筆致の集積によって俯瞰的に複数の環世界を描く「天気図」シリーズのほか、新たに展開される「草木言語」シリーズを見ることができる。

 「草木言語」シリーズは、木々が私たちとは異なる原理で知覚を共有する説と、有機的な存在だけでなくAIなどのデジタル世界においても生命が宿り、ある種の自然を生成するメカニズムにも目を向けて取り入れたもの。ギャラリーの2フロアを使い、今日に至るまでの畑山の制作を網羅する回顧的な個展となる。

展示風景より
展示風景より

編集部

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