蓮沼執太は1983年生まれ。楽曲制作のほか映像やインスタレーションによる作品を発表し、「Compositions」(Pioneer Works、ニューヨーク、2018)、「 ~ ing」(資生堂ギャラリー、2018)など近年の個展を通して、人と人の関係性、人と人以外の関係性について考察を重ねてきた。
そんな蓮沼は2019年5月、ニューヨークのイーストビレッジに位置するトンプキンズ・スクエア・パークで1日限りのプロジェクトを開催。そのアーカイブをまとめ、再構築する展覧会「OTHER "Someone’s public and private / Something’s public and private”」が、東京・表参道のvoid+で開催される。会期は2月1日~29日。
ニューヨークで行われた「Someone’s public and private / Something’s public and private」は、公園に存在する様々な関係性のあり方を、作品を介して自由かつ能動的に体験するためのプロジェクト。公園には蓮沼の体重分の水が入ったボトルとインストラクションがあり、参加者はその指示をもとにボトルを動かし、持ち帰ることができる。
参加者によって移動されたボトルがパブリックに広がり、最後には個人によってプライベートな場へ移っていくことで「パブリック」と「プライベート」が交差し、緩やかにつながる同プロジェクト。「触れること」を通して具体的/抽象的な関係性をとらえ直したいと語り、自身がマイクを引きずって街中を歩くライフワーク的な作品「Walking Score」などを手がける蓮沼による、都市への考察を見ることができるだろう。
会場では、同プロジェクトの記録写真、写真、音源、ボトルの位置を定点観測してつくられたスコア的なメモなどを、空間をひとつのキャンバスに見立てたかのように構成。また会期中には、東京では初となるリーディング・イベントも開催される。公共、個人、資本主義、そして音を考える蓮沼の実践を、この機会に目撃したい。