シエニーチュアン、金海生、ユササビ、小林正人によるグループ展「星座と出会い系、もしくは絵画とグループ展について」が、神奈川県相模原市のパープルームギャラリーで開催されている。会期は10月5日~14日。
シエニーチュアンは1994年愛知県生まれ、現在パープルーム予備校5期生として活動中。20年代にシュルレアリスムの作家たちが試みたオートマティスムの手法を援用した作品を手がけてきた。シエニーチュアンは自身を「キャラ」と自認しているというが、絵画作品には直接的にアイコンが登場することはなく、絵画という「もの」をキャラクターグッズとして成立させる研究を行っている。本展ではその最初のスタディーの初披露となる。
金は94年中国山東省煙台市生まれ。北京の大学で学んだのち、日本に留学し、美術を学んでいる。自らの記憶や経験をもとにした私小説的な作品づくりに不快感を覚え、絶えず変化することを受け入れながら作品を制作しているという。
ユササビは88年徳島県生まれ。本展には、出会い系サイトで知り合った異性との出会いから別れを綴った作品《どうか傷ついてまいってしまわないように…》を出展予定だ。本作は、スマートフォンを思わせるプロポーションの小さなペインティング、実際に相手とやりとりをした際の言葉が記されたラベル、「LOVE」の文字をかたどった糸によって構成。本作を通じてユササビは、現在の情報環境のなかで、メディアごとの速度や性質の違い、記録/記憶することへの言及を試みる。
小林は57年東京都生まれの画家。長方形の枠を飛び出してキャンバスを張りながら手で描くなど、自由な絵画のための方法論を生み出してきた。国内外で数多くの個展を開催してきたほか、グループ展や芸術祭にも参加するなど、つねに注目を集める。本展には、鞆の浦のアトリエでつくられたという新作が出展される予定だ。
本展の特徴は美大出身者、美大を出ていない者、すでにキャリアを積んだベテランの画家が名を連ねている点だ。本展の企画者である梅津庸一曰く、作家が属する共同体や出自に敏感すぎる昨今の展覧会づくりに対して、おおらかかつ鈍感に出展作家を選定したという。