岡﨑乾二郎は1955年東京生まれの造形作家。82年のパリ・ビエンナーレ招聘以来、数多くの国際展に出品。加えて、総合地域づくりプロジェクト「灰塚アースワーク・プロジェクト」の企画制作や、「なかつくに公園」(広島県庄原市)などのランドスケープデザイン、ヴェネチア・ビエンナーレ第8回建築展の日本館ディレクター、現代舞踊家トリシャ・ブラウンとのコラボレーションなど、つねに先鋭的な芸術活動を展開してきた。
2009年から10年にかけて、東京都現代美術館では「MOTコレクション特集展示 岡﨑乾二郎」が開催。同展は、80年代の立体作品から最新の絵画までを俯瞰できるものであった。19年11月からは、豊田市美術館での個展開催を控えている。
いっぽうで長年教育活動にも取り組んでいる岡﨑は、芸術の学校として「四谷アート・ステュディウム」(2002~14)を創設し、同学のディレクターを務めた。武蔵野美術大学客員教授でもある。
また文筆活動も行っており、主著には、第69回芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)を受賞した『抽象の力 近代芸術の解析』(亜紀書房、2018)のほか、『ルネサンス 経験の条件』(文春学藝ライブラリー、文藝春秋、2014)、『芸術の設計―見る/作ることのアプリケーション』(フィルムアート、2007)などがある。04年には、谷川俊太郎との共著『ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ』(クレヨンハウス、2004)を発表した。
そんな岡﨑の展覧会が、東京・天王洲のTakuro Someya Contemporary Artで開催中だ。本展では、代表作の一つでもあるゼロ号サイズとサムホールサイズに描かれた抽象画シリーズ「ゼロ・サムネイル」の新作を中心に展示。絵画の枠に収まらない作品群に深い洞察を得たい。