アーティスト・三野新が率いる演劇コレクティブ「ニカサン」による新作公演「うまく落ちる練習」が、東京・天王洲のANOMALYで開催される。
三野は1987年生まれ。「現代の恐怖の予感を視覚化する」ことをテーマに、舞台芸術と写真・映像メディアを用いて活動してきた。「ニカサン」は2017年に立ち上げ。記録された出演者の小さな身振りから、政治的・社会的な背景としての「恐怖の物語」を抽出/創作することを行っている。
三野は昨年10月、東京・新宿の歌舞伎町ブックセンター跡地で行われたChim↑Pom主催の「にんげんレストラン」に参加。サミュエル・ベケットの戯曲『息』を原案としたパフォーマンス作品《「息」をし続けている》を発表した。同作は自らの「息」を録音し会場で再生するものだったが、会期中に会場付近で7件の飛び降り自殺が起きたことを受けて内容が変化。後半には、自殺が起こった現場でのパフォーマンスも行われた。
今回上演される「うまく落ちる練習」は、この衝撃的な経験を元に制作されたもの。三野は東京オリンピックに向けて再開発が進む都市の風景に対して、いかなる介入の手立てがあるのかを模索。本作では個人が生きるための風景の「ひだ」の手触りを、現代社会の「恐怖の予感」をテーマに表現することを試みる。
8月3日の深夜公演会期中には、衣装・美術・音楽を手がけるスタッフとアーティストが中心となってライブアクトやトークマラソンを行うオールナイトイベント「うまく落ちる練習の練習」も開催。トークには、Chim↑Pomリーダー・卯城竜太とアーティスト・松田修が参加する。なお、9月14日〜16日には京都芸術センターでの京都公演が予定されている。