坂本夏子 個展「迷いの尺度 ― シグナルたちの星屑に輪郭をさがして」

「絵画でしか表すことのできない世界」を描く画家・坂本夏子が、3年ぶりとなる個展を開催する。

　坂本は1983年熊本県生まれ、2012年に愛知県立芸術大学大学院美術研究家修了。受賞後に、絹谷幸二奨励賞（2009）、VOCA奨励賞を受賞（2010）。一度描いたところには戻らず、タイルなどの単位を繋ぎながら描いていく手法による、歪んだ空間の絵画作品で注目される。

　12年以降は、絵画に宿る物語性やイメージのヴィジョンに寄らず、描く行為を前景化した表現へと変化し、「絵画でしか表すことのできない世界」への興味を深化させている。また近年では、アーティスト・コミュニティ「パープルーム」の展覧会にも参加。今年の7月上旬には、初の作品集の刊行を予定している。

　本展では120号の大作をはじめ、約90点におよぶドローイング、立体作品も展示。三連の最新作「Signals」は、偶然性にゆだねながらも、自身の身体のスケールを「尺度」として、複数のシナプスのようなかたちを形成しながら、二次元平面に四次元の時空を表出させる。

　なお、カラフルで奇異な形状の木彫作品を制作する髙山陽介の個展が同時開催される。