北大路魯山人の没後60年を記念する展覧会が開催中。昭和陶芸の成果とその源流から未来を見つめる

昭和陶芸を代表するひとり、北大路魯山人の没後60年を記念する展覧会「没後60年 北大路魯山人 古典復興 -現代陶芸をひらく-」が、愛知県の碧南市藤井達吉現代美術館で開催されている(~6月9日)。本展は愛知展の終了後、千葉市美術館に巡回する。千葉展の会期は7月2日〜8月25日。

北大路魯山人 織部間道文俎鉢 1953頃 八勝館蔵

 京都出身の北大路魯山人(1883〜1959)は当初、書や篆刻の分野で活動していた。1915年に初めて作陶を体験し、30代を終える22年に、生来の食に対する関心から「料理の着物」としての焼き物の制作に向かった。

 中世以来の日本文化の核である茶道を基軸とする日本の伝統に触れ、一挙に陶芸の古典復興を代表する存在となった魯山人。たんなる食器づくりではなく、かつて中国大陸や朝鮮半島からもたらされ日本人によって守り伝えられた焼物や、日本で生み出された素朴な焼物、あざやかな色絵まで、焼物が持つ様々な美をすくい上げるその活動は、絶えず同時代の陶芸家たちを触発するものであった。

北大路魯山人 日月椀 1937 世田谷美術館蔵(塩田コレクション)

 そんな魯山人の没後60年を記念する展覧会「没後60年 北大路魯山人 古典復興 -現代陶芸をひらく-」が、愛知県の碧南市藤井達吉現代美術館で開催されている。本展は、魯山人ゆかりの料亭として知られる八勝館が所蔵する作品と、世田谷美術館の塩田コレクションを中心に構成。

 加えて、川喜田半泥子(1878〜1963)や石黒宗麿(1893〜1968)、荒川豊蔵(1894〜1985)、八木一夫(1918〜79)ら同時代の陶芸家たちの作品も展示される。陶芸家たちが学びを得た中国大陸や朝鮮半島、そして日本の古陶磁もあわせて展示することによって、昭和陶芸の成果とその源流から未来を見つめる内容となる。本展は愛知展終了後、千葉市美術館に巡回予定。

編集部

Exhibition Ranking