黒田泰蔵は1946年生まれ。20歳のときパリに渡り、のちに人間国宝となる陶芸家・島岡達三と出会う。その後カナダへ渡り、島岡の紹介で陶芸家のゲータン・ボーダンに師事し、陶芸を始めた。
81年の帰国後も、様々な技法で精力的に作陶に携わっていた黒田。しかし45歳のとき「轆轤(ろくろ)成形、うつわ、単色」という3つの条件を自身に定め、そこから白磁のみの制作に傾注する。
東京国立近代美術館、ブルックリン美術館(ニューヨーク)、ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)など国内外の美術館に作品がコレクションされている黒田としては、美術館での初の個展となる本展。
今回は黒田の代名詞といえる円筒をはじめ、梅瓶や花入、台皿といった白磁の数々を展示。轆轤の回転が生み出す柔らかで張りのあるフォルム、磨かれた表面の陰影、薄く挽き上げられた口縁など、黒田が追求し続けてきた美しさの精髄を、この機会に堪能したい。