19世紀後半~20世紀初頭にかけての名作フランス絵画を多数擁するオランジュリー美術館のコレクション。その21年ぶりとなる来日展が、9月より横浜美術館で開催される。
モネの「睡蓮」大装飾画でも知られるオランジュリー美術館。そのコレクションの核を成すのは、1920年代のパリでもっとも重要と言われる画商、ポール・ギョームが収集した作品群だ。ギョームはマティスやピカソの作品を多く集めたほか、当時は評価が確率していなかったモディリアーニやスーティンらの才能を見出し、積極的に援助した。
本展ではそんなオランジュリー美術館所蔵の146点の絵画群から、ルノワール、ピカソ、マティス、ルソー、モディリアーニなど13人の画家による作品約70点を紹介する。
19世紀後半、急速に近代化が進んだパリでは、それまでのアカデミスム絵画に対抗して印象派が誕生した。本展では、ルノワールやモネ、イギリス人画家のアルフレッド・シスレーらによる作品群を紹介。なかでも一番の見どころは、ルノワールの代表作《ピアノを弾く少女たち》(1892頃)だ。
20世紀に入ると、若い画家たちはさらなる革新を求めて、フォーヴィスムやキュビスムといった動向を形成。本展では、マティスが1917年頃から手がけた装飾性豊かな作品や、「新古典主義時代」におけるピカソの代表作《布を纏う裸婦》(1923)などを見ることができる。
そのほかにも、第一次世界大戦後に人間性の回復を唱え、哀愁を帯びたパリの街並みや人々の姿を描いたエコール・ド・パリ(パリ派)の画家たちの作品も展示。イタリア出身のモディリアーニや、パリ出身のローランサン、ユトリロなどの顔ぶれが揃う。
加えて本展では、ポール・ギョームと画家や詩人たちとの交流、アメリカ人コレクターのアルフレッド・バーンズとの関係を示す資料類も紹介。また、若くして亡くなったギョームの遺志を受け継いだ謎多き美女・ドメニカ夫人の姿にも迫る。名品の数々とともに、コレクターの夢や、画家たちとの友情の物語にも注目したい。