1989年3月に横浜博覧会のパビリオンとして開館し、博覧会終了後の同年11月に正式開館した横浜美術館が、2019年に開館30周年を迎える。この節目の年に同館では開館30周年記念展として、3つの企画展を開催する。
19年度のトップを飾るのは、「Meet the Collection ―アートと人と、美術館」( 4月13日〜6月23日)だ。本展では、1万2000点を超える横浜美術館のコレクションの中から、「LIFE」「WORLD」の2部構成のもと、絵画、彫刻、版画、写真、映像、工芸など300点を超える作品を展示。さらに、淺井裕介をはじめとする複数のアーティストがゲストとして新作を制作。新作と収蔵作品とを並べることで作品同士の出会い(Meet)の場を創出し、アートの自由な見方、アートとの多様な関わり方を提案するという。
夏の横浜美術館は横浜ゆかりの人物のコレクションが並ぶ。横浜において生糸貿易や製糸業などの実業で財を成し、希代の古美術品コレクター、茶人、そして同時代の日本美術院の画家や彫刻家を物心両面から支援したパトロンとしても知られた原富太郎(号:三溪)。「生誕150年・没後80年記念 原三溪の美術 伝説の大コレクション」(7月13日〜9月1日)では、三溪旧蔵の古美術や近代美術(絵画、工芸、彫刻)など約100点と、三溪自筆の書画、資料を展示することで、美術に対する三溪の眼差しに焦点を当てる。
19年度の締めくくりは「オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」(9月21日〜2020年1月13日)だ。パリのセーヌ川岸に建つオランジュリー美術館は、画商ポール・ギョームらが収集した印象派とエコール・ド・パリの作品群によって広く知られ、そのコレクションはヨーロッパ最高の絵画コレクションのひとつに数えられている。本展では、同コレクションから、ルノワール、セザンヌ、マティス、ピカソ、モディリアーニなど、パリを愛し芸術に魂を捧げた画家たちの名作約70点を紹介。ルノワールの傑作《ピアノを弾く少女たち》をはじめ、同館のコレクションがまとめて日本で紹介されるのは21年ぶりとなる。