パリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンで、「コートールド・ギャラリーコレクション 印象派への視点」と「フォンダシオン ルイ・ヴィトン / ザ・コレクション 絵画への視点 新たなセレクション」の2つの展覧会が開催されている。
「コートールド・ギャラリーコレクション 印象派への視点」は、イギリスの実業家であり、アートのパトロンでもあったサミュエル・コートールド(1876~1947)のコレクションを紹介する展覧会。
コートールドのコレクションは1923~29年のわずかな期間に妻・エリザベスの協力のもとに築き上げられ、現在はロンドンのコートールド・ギャラリーに保管されている。そして本展は、昨年9月に始まった同ギャラリーの改装に伴う一時的な閉館によって実現したもの。
本展では、コートールドのコレクションから60点の絵画とグラフィック作品を含む約110点の作品を紹介。自身もフランスにルーツを持ち、パリで多くの時間を過ごしたコートールドが収集したマネの《フォリー=べルジェールのバー》(1882)やセザンヌの《カード遊びをする人々》(1982-96)、ゴッホの《包帯をしてパイプをくわえた自画像》(1889)など、フランス絵画の名作の数々を紹介する。
また、同時開催として行われるのが「フォンダシオン ルイ・ヴィトン / ザ・コレクション 絵画への視点 新たなセレクション」だ。
本展では、フォンダシオン ルイ・ヴィトンのコレクションから、60年代~現代のアーティストによる作品75点を紹介。「絵画」をテーマに、具象と抽象、表現豊かなものから対象と距離を置いた作品まで、さまざまな角度からのアプローチを試みる。
まずは、ジョアン・ミッチェルの絵画とカール・アンドレの彫刻をスタートに、ヘスス・ラファエル・ソトやダニエル・ビュレン、ジョセフ・コスースらの多様な制作の方法を紹介。また「色と光」をテーマにダン・フレイヴィンやゲルハルト・リヒターの作品を取り上げるほか、鏡の仕掛けで空間が無限に広がる草間彌生の作品を展示するなど、多彩な顔ぶれが揃う。
これら2つを同時開催することで「歴史的観点に立ち現在のクリエイションの発展に深く寄与する、という意志を改めて表明」するフォンダシオン ルイ・ヴィトン。今回の展覧会は、19世紀から現代までの美術の流れを一望するまたとない機会と言えるだろう。