芸術と福祉をつなぐ実践から生まれた展覧会。山本麻紀子が「いつかの話 あの人の風」を京都の元小学校で開催

東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)が、京都市から受託した「⽂化芸術による共⽣社会実現のための基盤づくり事業」の一環として行っている「ノガミッツ プロジェクト」。アーティストの山本麻紀子を中心とした同プロジェクトの成果として、展覧会「いつかの話 あの人の風」および関連イベントが、京都の元山王小学校ほか3ヶ所で行われる。会期は2月17日〜24日。

入居者との対話の様子

 2018年度、京都市から「⽂化芸術による共⽣社会実現のための基盤づくり事業」を受託している東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)。その一環として行われているのが、アーティストの山本麻紀子が中心となって展開してきた「ノガミッツ プロジェクト」だ。

 「ノガミッツ プロジェクト」は、山本が同事業コーディネーターのあごうさとし等とともに高齢者福祉施設「東九条のぞみの園」を訪問し、利用者や職員、地域の住民たちと対話を重ねながら構想・協働するもの。同プロジェクトは、「ノガミッツ ガーデン」と作品制作の2つから構成される。

制作中のハンカチ作品(部分)

 そして今回開催されるのが、その成果としての展覧会「いつかの話 あの人の風」だ。山本は施設の入居者と対話を重ね、その言葉や振る舞いから抽出したモチーフを中心に制作。地域の草花で布や糸を染める、土をこねて焼成するなどの過程を通じてつくられた作品が発表される。

 もうひとつの成果である「ノガミッツ ガーデン」は、地域の住民から「おすそわけ」された植物によってつくられる「のぞみの園」の中庭。本展でもイベントが行われるほか、山本が制作した作品の一部が入居者に贈られ、一部はガーデンの土に埋められる予定だという。

 芸術と福祉はかけ離れた存在ではなく、「人の豊かな生き方を追求する」点で通底する考え方を持つのではないか、という考えのもと行われる本展。誰かとともに生きる場で生み出された作品から、人々の物語に触れてみたい。

展覧会メインビジュアル

編集部

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