EXHIBITIONS

ますむらひろし展

-アタゴオルと北斎と賢治と-

2019.01.03 - 02.17

ますむらひろし 森に聴かせてる 1993 © ますむら・ひろし

ますむらひろし 銀河鉄道の夜 1983 © ますむら・ひろし

ますむらひろし あむちゃん 1986 © ますむら・ひろし

ますむらひろし 尾州不二見原(富嶽三十六景) 2010 © ますむら・ひろし

 特徴ある猫のキャラクターと独特のファンタジーで読者を魅了するマンガ家・ますむらひろし。宮沢賢治の童話に登場する人物を猫の姿に置き換えながら、原作の文章を忠実に表現した『アタゴオル』シリーズや、アニメーション映画『銀河鉄道の夜』(杉井ギサブロー監督)の原案者としても知られている。

 ますむらは1952年山形県生まれ。73年に週刊『少年ジャンプ』の手塚賞に準入選してデビュー。70年代より、ユーモラスな猫・ヒデヨシと個性豊かなキャラクターが繰り広げる『アタゴオル』シリーズを制作し、宮沢賢治の心象世界「イーハトーブ」と呼応する、猫と人の理想郷「アタゴオル」の世界をつくり上げた。そのキャラクターは、シチューのCMのほか大手メーカーの広告に起用され、人気を呼んだ。

 2005年からますむらは、カラーイラスト「アタゴオル × 北斎」を発表。葛飾北斎の描く日本の美しい景勝地の浮世絵に「アタゴオル」の住人たちが溶け込んだ本シリーズの1点1点には、ますむらによる解説文がつけられている。そこには、浮世絵を模写し「アタゴオル」の要素を加える際の考えやそのプロセス、北斎の画業についての見解が、北斎への尊敬と畏敬の念を持って語られている。

 本展では「アタゴオル × 北斎」シリーズを中心に、宮沢賢治童話のシリーズなどますむらの緻密で独創的な作品世界を紹介。そのほか、マンガ原稿や創作ノート、作中の小道具の参考資料として使われた作家所蔵の鉱物や古道具などもあわせ、約200点が並ぶ。