「Pixel(画素)」と「Cell(細胞・器)」を融合させた「PixCell」という独自の概念を軸に制作を行っている名和晃平。発泡ポリウレタン、ガラスビーズ、プリズムシートなど、様々な素材の特性を生かしながら、最先端の技術をかけ合わせた彫刻や空間表現に取り組んできた。
現在は、東京・谷中のSCAI THE BATHHOUSEで開催中の個展「Biomatrix」(~12月8日)のほか、パリ・ルーヴル美術館ピラミッド内での特別展示(〜2019年1月14日)も大きな注目を集めている。
京都市立芸術大学で彫刻を学んだ名和は、多彩な造形作品を発表するいっぽうで、デビュー当初より平面作品も数多く手がけてきた。いずれも視覚から身体性や素材そのものが持つ特性を強く感じられるもの。
今回、大阪のギャラリーノマルで開催される「名和晃平:Element - Black」は、2013年の同ギャラリーでの開催以来、関西では5年振りとなる名和の個展だ。本展を開催するにあたって、名和は、抽象的なイメージや素材を組み合わせる、あるいは重ね合わせることによって立ち現れる視覚体験に着目。
本展は、それを出発点として制作された、表面が様々なサイズの黒色炭化ケイ素粒子に覆われた、増殖をイメージさせる有機的なフォルムを持つ新作彫刻シリーズと、膨大な数のドローイングから厳選されたイメージをデジタルレイヤーとして融合させ、奥行きのあるビジョンを提示する新作版画シリーズを中心に構成される。
加えて、その世界観に通じる新作ドローイングも発表。作品の形態は違えど、いずれにおいてもミクロとマクロの視点を往還するようなアプローチを試みる。