「崩れたモノ」や「没落した文明」
を礎に。レイチェル・ハリソンが
日本で初めて作品を発表
ニューヨークを拠点に活動する美術家、レイチェル・ハリソンの日本初個展「House of the Dolphins」が東京・青山のRAT HOLE GALLERYで開催。本展は、捻れた木材を用いた立体シリーズ《Stud》と、ハリソンがヨーロッパ各地でギリシャ彫刻を撮影した写真作品で構成される。会期は6月1日~9月2日。
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レイチェル・ハリソンは1966 年ニューヨーク生まれ。美術史やポップカルチャーなど様々な事象を結びつけながら、あらゆる素材をアッサンブラージュした軽妙な立体作品で知られている。
ハリソンは近年、捻れた木材を探し求め、材木置き場に足繁く通っている。そうして手に入れた「建物の構造物としては意味を成さない捻れた木材」を自身の立体作品の礎とし、セメントでコーティング。多様な彩りをまとわせたうえで、直立させて立体作品を制作していく。
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![](https://bt.imgix.net/magazine/16144/content/RH1580_06.jpg?auto=format&fm=jpg&w=1920&h=1080&fit=max&v=0)
「House of the Dolphins」と題された今回の個展は、こうしたプロセスを経て生み出された立体シリーズ「Stud」とともに、ハリソンがアテネ、デルフィ、デロス島などの博物館でギリシャ彫刻を撮影した写真作品も展示される。
ハリソンが撮影した12体の古代彫刻はみな、本来それらが置かれていた環境(屋外や建築物)からは切り離されており、背景の色面がその事実を示すとともに、かつては鮮やかに彩られていたであろう表面もまた、失われてしまっていることを示唆する。
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一貫して時間の影響を受けた物質を扱い、制作を通じて「没落した文明」や「かたちの崩れたもの」と協働するハリソン。まるで「断片化した身体」「切断された器官」を思い起こさせるような作品群は、日本初個展で鑑賞者にどのような作用をもたらすだろうか。