「おせっかい」という名の濃密なコミュニケーション。スタッフとファイナリストたちが語る「BUG Art Award」の現在地
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「BUG Art Award」はおせっかいやき?

──実際の運営するなかで、ほかに注力したり気を配っている点はありますか?

野瀬 これはリクルートの社風の影響も大きいのですが、私たちは「おせっかいをやく」ことを大切にしています。こちらから積極的に働きかけ、コミュニケーションをとっていきたいと常々考えており、様々なレクチャーがあるのはその表れのひとつです。また審査過程においても、審査員やインストーラー、展示プランのアドバイザーからフィードバックがいくようにしています。

片野 おせっかいされるのを嫌がる人もいるかもしれないので注意は必要ですが、ご縁のあった方々とは長期的にお付きあいしていきたいと考えているので、こちらからの働きかけはどんどんしていきたいです。アートの世界は、おせっかいをする雰囲気があまりないようにも見えるので、新しい流れをつくれたらと思います。

片野可那恵

野瀬 審査の態勢もこだわりを持ってつくってきました。だれが審査員になるかによってアワードの色はかなり決まってくるので、お願いする前にできるかぎりのリサーチをおこない、コミュニケーションもとってきました。ジェンダーや専門分野などに偏りが出ないよう留意し、多様な視点を持ち込んでいただける方々にお声がけできたと思っています。

 審査員、スタッフともども、権威や高圧的な空気とは無縁でありたいです。応募者に寄り添い、ともに歩んでいける関係を築きたいと考えています。

 様々な点を考慮した末、第1回の審査員は内海潤也(石橋財団アーティゾン美術館学芸員)、菊地敦己(アートディレクター・グラフィックデザイナー)、たかくらかずき(アーティスト)、中川千恵子(十和田市現代美術館キュレーター)、横山由季子(東京国立近代美術館研究員)[敬称略]の5名にお願いすることとなりました。第2回でも、みなさん引き続き審査にあたっていただいています。

 実際の審査において、みなさんの意見や主張はほぼあいませんが、むしろそれがいいのだと思います。そのうえで運営側としては、声の大きさに引きずられない審査の仕組みを考え抜いて実行し、審査員のみなさんには粘り強く議論を重ねていただく。そうした積み重ねにより、納得度の高い審査を実現しようとしています。

第1回BUG Art Awardの2次審査での1on1の様子
第1回公開最終審査の様子。審査員は、内海潤也、菊地敦己、たかくらかずき、中川千恵子、横山由季子

石井 BUGでは審査の在り方や運営方法などを含め、すべてにおいて関係者や参加者からのフィードバックを得ながら、よりよいかたちへ変化する柔軟性を保つようしています。これから第3回のサイクルも始まっていきますが、ぜひご期待と応募の検討をいただければと思います。

 実際的な注意点を付け加えておきますと、募集期間の最終盤になると応募がかなり集中します。期限を少しでも過ぎてしまうと応募不可となってしまいますので、事故のないよう早めの応募準備をお願いいたします。

編集部

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