兵庫県立美術館「石岡瑛子 I(アイ)デザイン」インタビュー。現代人の心に響く石岡瑛子の仕事が美術館と共鳴する【7/8ページ】

注目の同館限定の展示品

 特別出品される同館限定の展示品にも注目だ。ひとつは、PARCOからの打診を受けて、石岡が画集(1980年刊行)の構成とブックデザインを手がけた女性画家タマラ・ド・レンピッカ(1898~1980)について語った、2010年時のインタビュー映像。1920年代のパリでモダンな肖像画が人気を博したレンピッカは、長く忘れられた存在だった。「世界に先駆けて晩年のレンピッカをメキシコまで訪ねて取材を敢行し、日本ではほとんど知られていなかったその画業を紹介した。画集にはインタビュー記事とともに世界中からかき集めた図版や作品総目録、同時代の批評が掲載されるなど、美術史的にも意義ある仕事だった」と林。その後国際的な再評価が進んだレンピッカは、2010年に巡回展「美しき挑発―レンピッカ展」が同館で開催された。

5幕展示風景より、タマラ・ド・レンピッカとレニ・リーフェンシュタールについての石岡瑛子の仕事

 写真家の米田知子が、雑誌『Vogue』の取材に同行し、ベルリン五輪の記録映画「オリンピア」二部作で知られるレニ・リーフェンシュタール(1902~2003)の100歳誕生パーティの5日後に、彼女と石岡を撮影した写真(2002)も会場に展示されている。戦後「ナチスの協力者」と指弾されるも、写真家・映像作家として復活したリーフェンシュタール。「レニの仕事を敬愛しつつも、一定の距離を保ち彼女への批評精神を持ちながら」(河尻)日本での個展開催を仕掛け、交流を続けた石岡。両者を収めた本作は様々なことを考えさせるだろう。

編集部

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