兵庫県立美術館「石岡瑛子 I(アイ)デザイン」インタビュー。現代人の心に響く石岡瑛子の仕事が美術館と共鳴する【8/8ページ】

石岡展と連動したコレクション展も開催

 同時期に常設展示室で開催されている「コレクション展Ⅱ わたしのいる場所」(〜12月8日)も見逃さないようにしたい。石岡展と連動し、同館所蔵作品の中から選んだ約60人の女性作家の作品が集結。洋画家の草分け世代の神中糸子から、戦後の具体美術協会の田中敦子や山崎つる子、80年代から関西を拠点に活動する松井智惠や児玉靖枝、最年少の谷原菜摘子まで、80点を超す作品がそろう「女性」特集だ。

「コレクション展Ⅱ わたしのいる場所」展示風景より

 担当した武澤里映学芸員は、「非常にバラエティに富んだ作品を見ていただけると思う。石岡瑛子の作品や生き様にも通じる、鑑賞者をエンパワーメントできるような展示を目指した。たくさんの作家や作品との出会いを通じて、それぞれのアーティストが築き上げた『私がいる場所』を感じていただき、女性作家特有とされる共通性でなく、性別でひとくくりにできない創作のあり方を考えてもらえたら」と話す。

「コレクション展Ⅱ わたしのいる場所」展示風景より

 林洋子館長によると、同館所蔵作家のうち女性作家は約100人を数え、全体人数の約1割となっているという。「当館は、前身の兵庫県立近代美術館(1970年開館)時代から歴代学芸員が同時代作家に目配りし、作品収集を続けてこの人数になった。関西圏は、とくに80年代以降、京都に多い美大や芸術系大学で学び、卒業後も制作を継続してきた女性作家がしっかりいる。そうした層の厚さや地域での学芸員の情報収集力がコレクションに反映されている」と説明する。

「コレクション展Ⅱ わたしのいる場所」展示風景より

 折しも大阪市の大阪中之島美術館では現代美術家・塩田千春の個展「塩田千春 つながる私(アイ)」(〜12月1日)が開催中。姫路市立美術館では「霧の彫刻家」中谷芙二子の新作「《白い風景》霧の彫刻#47769」(高谷史郎との協働作品)が12月1日まで公開されている。兵庫県立美術館から回遊すれば、パワフルで多彩な「I(私)」とこの秋に出会えそうだ。

編集部

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