兵庫県立美術館「石岡瑛子 I(アイ)デザイン」インタビュー。現代人の心に響く石岡瑛子の仕事が美術館と共鳴する【4/8ページ】

分野、国境、表現……大いなる越境

 ふたつ目は越境性。石岡は、グラフィックデザインを基軸に広告からキャリアを始め、書籍デザイン、舞台美術、衣装へ活動領域を広げ、いずれでも高い評価を得た。挑戦を求めて米国に移住し、「地球のすべてが私のスタジオ」と語った。

 「あらゆる領域でここまでパフォーマンスを発揮した人は、私が知る限りあまりいない。それも多芸的な“マルチ”でなく、すべて『私』『デザイン』という芯が通っている」。そう説明する河尻は、表現の「越境性」にも注目する。

 「安藤忠雄さんは前田美波里さんのポスターを『飛び出してきそうだ』と形容されたが、瑛子の仕事は平面でも立体性が豊かだ。若いときからプロダクトデザインに興味があり、新人の登竜門・日宣美(日本宣伝美術会)展でグランプリを受賞したポスターは、まず実物の立体形をつくって撮影し、それを描写する独創的な手法でつくり上げた。身体に対する関心も強く、それらの感覚がのちに手がけた衣装デザインにも生かされている。それでいて、瑛子の衣装デザインは立体でありながら非常にグラフィカルで完成度が高く、ビジュアル的に映える。立体(3D)も平面(2D)も越境する次元の表現を目指していたのではないか」。

3幕展示風景より、《シンポジウム:現代の発見》

編集部

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