兵庫県立美術館「石岡瑛子 I(アイ)デザイン」インタビュー。現代人の心に響く石岡瑛子の仕事が美術館と共鳴する【6/8ページ】

安藤忠雄建築と共振する会場

 次に本展の見どころに目を向けよう。安藤忠雄が手がけた美術館としては、国内最大級となる兵庫県立美術館(2002年開館)は、複雑な空間を内包する関西随一の巨大ミュージアム。吹き抜けのエントランス、神殿のような企画展示室の入り口、自然光が降り注ぐガラス張りの廻廊など、陰影に富む多彩な表情が味わえる。

 「その安藤建築の空間を生かす展示を本展は心がけた」と、担当学芸員の林優は話す。林は5章構成の本展の「大きな見どころ」として、2幕「あの頃、街は劇場だった―1970’s 渋谷とパルコ、広告の時代」を挙げた。石岡が手がけた伝説的ポスターが勢ぞろいするこのコーナーは、展示室の中央にテントを設置し、その中でPARCOなどのCMを見ることができる。テントの色は、石岡の「勝負色」だった赤だ。

2幕展示風景より

 「特設テントを取り囲むように多数のポスターを何段にも掛け、劇場がある広場(=PARCO)をイメージしている。当館企画展示室は、かなり面積が広く、天井高も7メートル超と高いので、ひとつの大きな空間として、その時代に浸るような没入感や迫力を味わっていただけるのでは」(林)。

 会場のライティングも工夫を凝らし、コーナーにより明るさやダークな世界を演出。石岡作品のドラマチックさを引き立てている。

編集部

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