ホリデシーズンが近づく12月。都内でアートに関する書籍を扱う青山ブックセンター、銀座 蔦屋書店、クレヨンハウスの書店員に、プレゼントにもぴったりな「子供に贈りたい」10冊を選んでもらった。各店舗から寄せられたコメントとともに紹介する。
青山ブックセンター
青山ブックセンター(通称「ABC」)は、表参道駅から徒歩5分に立地する書店。ワンフロアの店舗には、本を通じた学び場としてのスクールも併設している。書棚には、アート、デザイン、広告、写真などのクリエイティブ系の書籍や、海外文学や海外の雑誌も所狭しと並んでおり、本との一期一会を経験することができる。
住所:東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山ガーデンフロア(B2F)
営業時間:10:30〜21:00(土日10:00〜) ※2023年より営業時間変更予定
『ルー、山へ行く』
ルーは“オオカミに会いたい”という夢を叶えるため山へ向かいます。ぐんぐん山を登っていくルーは、オオカミに会うことができるのでしょうか?
立体的で奥行きのある山々が飛び出し、美しい自然がページいっぱいに広がるしかけ絵本。丁寧に描き込まれた植物や動物たちが、自然の移ろいを楽しむ純粋な気持ちを思い出させてくれる一冊です。
作者:アヌック・ボワロベールとルイ・リゴー
訳:うちだ さやこ
発行:アノニマ・スタジオ
価格:2200円(税抜)
『Mou』
森の中で病気のおじいさんと暮らすトットは、雪の降る夜にふしぎな生き物ムーと出会い、一緒に森の奥へと出かけていきます。
温かみある色に囲まれたトットの家、真っ白な雪のなかを歩くトットの赤い帽子、ごつごつとしていて静かな冬の森、夜の暗闇がつくる深くてやさしい青、どのページも色彩が美しく、冬の贈り物にぴったりな一冊です。
作者:Naffy
発行:Gakken
価格:2000円(税抜)
『エルメスポップアップ』
エルメスは言わずと知れた、フランスの高級品ブランドです。皮革製品、洋服をはじめ、アクセサリー、香水など。スカーフ「カレ」はエルメスのアイコンとなるアイテムのひとつです。そのカレのデザインがポップアップブックに。子どもたちは、エルメスのイメージにとらわれることなく、純粋にそのデザインの美しさに目を輝かせることでしょう。
作者:ステファン・フェンキノス、ベルナール・デュイジ
訳:キノシタ テツオ
発行:大日本絵画
価格:4700円(税抜)
銀座 蔦屋書店
東京・銀座のGINZA SIX6Fにある銀座 蔦屋書店は、本を結節点として「アートのある暮らし」を提案するライフスタイル提案型の書店。店内には世界中のアート作品やアートグッズ、そしてアート関連書籍が並んでおり、併設のカフェでも書籍の閲覧が可能だ。様々な展示を行うアートスペースも備えており、アートを堪能できる空間になっている。
住所:東京都中央区銀座6丁目10-1 GINZA SIX 6F
電話番号:03-3575ー7755
営業時間:10:30〜21:00
『PLAY!たぐコレ』
遊びながら現代アートに親しんでもらうことを目的として、実業家・田口弘氏が収集した現代アートコレクション、タグチアートコレクションがトランプサイズになったアートカードゲーム。アートカードは、近年美術館でも行われている「対話型鑑賞」のツールとしても注目されています。
子供から大人まで、カードを見ながらお気に入りの作品について会話をしたり、作品の共通点を探したり、子供たち自身が新しいゲームを作ってみたり、遊び方は無限大。年末年始にご家族で一緒に現代アートを楽しむグッズとしてもオススメです。
発行:一般社団法人アーツプラス現代芸術研究所
価格:3000円(税抜)
『This Is Not a Book』
「これは本ではない」という逆説的なタイトル。扉が描かれる表紙をめくると、フランスのアーティスト ジャン・ジュリアンによるイラストレーションの世界が広がります。A5サイズのボードブックは、ときにコンピューターになったり、テニスコートやピアノの鍵盤とスコア、巨大な怪獣の口の中になったり。子供たちのイマジネーションの世界へとリンクします。「本」の可能性や面白さを感じさせるとともに、本を縦横に動かしながら柔軟な視点を楽しむことのできるアートブックです。
著者:ジャン・ジュリアン
発行:Phaidon Press
価格:1910円(税抜)
『Lewis Carroll's Alice's Adventures in Wonderland: With Artwork by Yayoi Kusama』
ルイス・キャロルのオリジナルテキストに、アーティスト・草間彌生の作品を挿絵とした、豪華愛蔵版の「不思議の国のアリス」。アリスのナンセンスな物語と草間彌生の幻想的な作品、物語に呼応するように変化するタイポグラフィ、多様な要素がすぐれたブックデザインによってあわさり、見事に融合しています。クロス装も美しく、おもちゃ箱に大切にしまって、誰もいないときにドキドキしながらページをめくる宝物のような1冊。
著者:ルイス・キャロル、草間彌生
発行:Penguin Classics
価格:4800円(税抜)
『 はじめての絵画の歴史 ―「見る」「描く」「撮る」のひみつ―』
生まれたときからスマートフォンやSNSが存在する世界を生きる現代の子供たちにとって、当たり前すぎる「PICTURE」という存在。そんな古今東西の「PICTURE」の歴史について、巨匠 デイヴィッド・ホックニーと美術批評家のマーティン・ゲイフォードが、穏やかな対話の中で紐解いていきます。
「人はなぜ絵を描くのだろう?」といった普遍的な「問い」を一緒に考えることは、視覚言語に慣れ親しむ現代の子供たちにとっても発見や刺激に満ちているのではないでしょうか。ページをめくるたびに、美術という世界に隠された神秘にむかっていくような胸が高まる一冊です。
著者:ディヴィッド・ホックニー 、マーティン・ゲイフォード
発行:青幻舎
価格:2500円(税抜)
クレヨンハウス
クレヨンハウスは、子供の本の専門店。表参道にあった東京店は2022年11月をもって閉店し、吉祥寺への移転が決まっている。ロングセラー作品を中心に、絵本や児童書常備約5万冊取り揃えており、紙芝居、ビッグブック、保育書、CD、絵本グッズなども充実。座り読みができるテーブルやカウンター席も設置されているので、贈り物の本もじっくり吟味することができる。
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町2-15-6 ルリアン吉祥寺2F(吉祥寺店)
電話番号:0422-27-2114
営業時間:11:00〜19:00(2F)
『もみのき そのみを かざりなさい』
夜、ひとつの星が光っています。そして、ページごとに描かれる一輪の花や、荒野に伸びる一本の道、吊るされた片方のくつした……そこに添えられる文章たち。
「ほし めざめなさい」
「はな おしゃべりを やめなさい」。
それぞれのページが、ひとつの絵とひとつの文章で構成されていますが、通して読むことで、しずかなクリスマスの夜が、こころのなかに浮かび上がってきます。子どもからおとなまでたのしめる絵本を作り続ける五味太郎さんの真骨頂が感じられる一冊です。
作者:五味太郎
発行:アノニマ・スタジオ
価格:1500円(税抜)
『そらからおちてきてん』
世界的な絵本の賞、コールデコット賞、ケイト・グリーナウェイ賞受賞作家のジョン・クラッセンさんによる長編絵本。日本語訳を手掛けるのは、日本でも絶大な人気を誇る絵本作家の長谷川義史さん。関西弁で表現された、絶妙な距離感の動物たちのやりとりに、ニヤリ、ドキリがとまりません。石ころから宇宙、果ては地球の未来まで想像が膨らんでいくような、まさかの展開をおたのしみください。
作者:ジョン・クラッセン
訳:長谷川義史
発行:クレヨンハウス
価格:2200円(税抜)
『アライバル』
アカデミー賞短編アニメーション部門受賞という驚きの経歴を持つ世界的な絵本作家ショーン・タンさんの代表作のひとつ『アライバル』。翻訳者の岸本佐知子さんに、「翻訳したくて、翻訳できなくて、地団駄をふみました」と、言わしめた本作は、どこか架空の世界の移民のストーリーを、精緻な絵と、マンガのコマ割りのような画面構成で見事に表現した、文字のない絵本です。唯一無二の世界観と、胸に迫るストーリーに圧倒されること間違いなし!
作者:ショーン・タン
発行:河出書房新社
価格:2500円(税抜)