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2019.4.22

ゴールデンウィークはどこへ行く?
いま見るべき15の展覧会をピックアップ【首都圏編】

まもなく始まる2019年ゴールデンウィークに向け、10連休を利用して訪れたい、編集部注目の15の展覧会を3回に分けて紹介する。第1回は首都圏編。

トム・サックス 左は《Bonsai》(2016)、右は《Stupa》(2013) © Tom Sachs Courtesy of Tomio Koyama Gallery
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おかえりなさい! 「百年の編み手たち-流動する日本の近現代美術-」「MOTコレクション ただいま / はじめまして」(東京都現代美術館

会場風景より、手前が舟越桂《遅い振り子》(1992)

 約3年にわたる改修のための休館を経て、ついにリニューアルオープンを果たした東京・清澄白河の東京都現代美術館。同館では、企画展「百年の編み手たち-流動する日本の近現代美術-」と「MOTコレクション ただいま / はじめまして」が開催中だ。

 「百年の編み手たち-流動する日本の近現代美術-」は、企画展示室の3フロア全てを使って展開。1910年代から現代まで、多様な要素を編集し制作を行う「編み手」としての作家たちの実践を、同館のコレクションを核に再考する。出展作家は岸田劉生、靉嘔、舟越桂、大竹伸朗、金氏徹平、会田誠、名和晃平、奈良美智、毛利悠子など。

 いっぽう「MOTコレクション ただいま / はじめまして」では、休館中に新しく収蔵された約400点の中から、主に2010年代に制作された五月女哲平、今井俊介、中園孔二らの作品や修復後の作品を展示。 どちらも見応えのある展覧会となっているため、1日を美術館で過ごすにはぴったりだ。

会期:2019年3月29日~6月16日
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00~18:00
休館日:月(4月29日、5月6日は開館)、5月7日
料金:「百年の編み手たち-流動する日本の近現代美術-」一般 1300円 / 大学・専門学校生・65歳以上 900円 / 中学・高校生 600円 / 小学生以下無料
「MOTコレクション ただいま / はじめまして」一般 500円 / 大学・専門学校生 400円 / 高校生・65歳以上 250円 / 中学生以下無料
 

争いの地に生まれた豊かな自然から考える。 「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」(原美術館

展示風景より、スタジオ アザー スペーシズ:オラファー・エリアソン アンド セバスチャン・ベーマン《水滴のパビリオン》

 2020年12月の閉館が予定されている品川の原美術館では、韓国出身のアーティスト、崔在銀(チェ・ジェウン)の発案・構成による展覧会「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」が開催されている。

 本展は、朝鮮戦争休戦後、65年あまりの歳月を経て朝鮮半島の「非武装地帯(DMZ)」に生まれた豊かな自然を守り、後世に残すためにジェウンが立ち上げた「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」の内容を可視化するもの。

 参加作家にはジェウンや川俣正、李禹煥らアーティストのほか、坂茂、チョウ・ミンスク、スタジオ ムンバイなど、各国の建築家が名を連ねる本展。DMZに設置することを想定した東屋や塔、貯蔵庫などのプランのほか、平野啓一郎やギムホンソックによる詩の朗読も聞くことができる。争いの地に生まれた豊かな生態系から、世界の「平和」のあり方について思索をめぐらせてほしい。

 なお原美術館では、開館当時から徐々にその数を増やしてきた常設作品にも注目。宮島達男の《時の連鎖》や森村泰昌の《輪舞》、奈良美智の《My Drawing Room》など、同館の約40年の歩みを物語る作品の数々を、企画展とあわせて楽しみたい。

会期:2019年4月13日〜7月28日
会場:原美術館
住所:東京都品川区北品川4-7-25
電話番号:03-3445-0651
開館時間:11:00〜17:00(祝日を除く水〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし4月29日、5月6日、7月15日は開館)、5月7日、7月16日
料金:一般 1100円 / 大学・高校生 700円 / 小・中学生 500円
 

茶道へのリスペクトと遊び心。 「トム・サックス ティーセレモニー」(東京オペラシティ アートギャラリー

会場風景より

 プラダのロゴが描かれた便器に、エルメスの包装紙を模したマクドナルドのバリューセット――そんなユーモアあふれる作品を生み出すアメリカのアーティスト、トム・サックスの個展「ティーセレモニー」は、初台の東京オペラシティ アートギャラリーでまもなく開幕。

 サックスはこれまで「手作り(ハンドメイド)の既成品(レディメイド)」とも評される作品を手がけ、ファッションブランドとのコラボレーションでも知られている。本展はその名の通り、「ティーセレモニー(茶会、茶道)」がテーマ。2012年から本格的に茶道を学んだサックスは、伝統的な茶の湯にまつわる様々な儀礼や形式を独自の解釈で再構築。体感型の庭や手作りの茶室、茶道具の数々など、こだわりと遊び心に溢れた作品が展示される。

 本展ではそれに加え、サックスが茶道に取り組むきっかけとなった「Space Program 2.0: MARS」展(2012)からの発展や歩みを振り返る。茶の湯の精神から、宇宙の旅までを見渡すサックスのユニークな視点を楽しむことができるだろう。

会期:2019年4月20日~6月23日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話:03-5777-8600
開館時間:11:00~19:00(金土~20:00)
休館日:月(祝日の場合は火、4月30日は開館)
観覧料:一般 1400円 / 大学・高校生 1000円 / 中学生以下無料
 

《女の三世代》は日本初公開! 「クリムト展 ウィーンと日本 1900」(東京都美術館

グスタフ・クリムト 女の三世代 1905 キャンバスに油彩 171×171cm ローマ国立近代美術館 Galleria Nazionale d’Arte Moderna e Contemporanea, Roma

 19世紀末ウィーンを代表する画家、グスタフ・クリムト(1862~1918)。上野の東京都美術館で、その没後100年を記念した展覧会「クリムト展 ウィーンと日本 1900」が開催中だ。

 見どころはなんといっても、日本初公開となるローマ国立近代美術館所蔵の《女の三世代》(1905)だ。同作は縦横約1.7メートルにおよび、壁画などを除けばクリムト最大の絵画のひとつ。クリムトが深い関心を寄せた生命の円環をテーマに、幼子とその子を抱く若い女性、年老いた女性が描かれている。本展ではそのほかにも《ユディトⅠ》(1901)や《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》(1899)など、日本では過去最多となる約25点以上の作品が展示される。

 なお、乃木坂の国立新美術館では「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」が開催中。同展では、クリムトやエゴン・シーレの活躍に焦点を当て、芸術の黄金期である「世紀末ウィーン」を包括的に紹介する。2つの展覧会で、クリムトの官能的な世界を堪能してみてはいかがだろうか。

会期:2019年4月23日〜7月10日
会場:東京都美術館
住所:東京都台東区上野公園8-36
電話番号:03-5777-8600
開室時間:9:30〜17:30(金〜20:00) ※入室は閉室の30分前まで
休室日:5月7日、20日、27日、6月3日、17日、7月1日
料金:一般 1600円 / 大学・専門学校生 1300円 / 高校生800円 / 65歳以上 1000円 / 中学生以下無料
 

633人の熱量が集結。 「東京インディペンデント2019」(東京藝術大学大学美術館 陳列館

会場風景より

 東京都美術館にほど近い東京藝術大学では、「芸術家としての意志があるすべての人に出品する資格がある」とし、総勢633人による作品を展示する「東京インディペンデント2019」が開催中だ。本展は、アーティストの保科豊巳と曽根裕の出会いから始まり、2人の対話を経て企画されたもの。

 あまりの作品数の多さから、消防法などの安全ガイドに抵触する部分が出たという本展。予定されていた15日のオープンを延期し、会場の調整を行って18日に開幕した。参加アーティストは公式ウェブサイトで公開されており、なかには千住博、名和晃平、小沢剛、会田誠などの名前も見ることができる。

 参加アーティストだけでなく、企画者やキュレーター、プロのインストールチームなど、スタッフの力を集結して実現した「東京インディペンデント2019」。会場に足を運んで、芸術に携わる人々の熱量を目撃したい。

会期:2019年4月18日〜5月5日
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館1・2階
住所:東京都台東区上野公園12-8
電話番号:03-5777-8600
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:無料

 このほかにも六本木の森美術館では、佐藤雅晴や杉戸洋、川久保ジョイ、アンリアレイジなどが参加する「六本木クロッシング2019展:つないでみる」、神宮前のワタリウム美術館では、ジム・ジャームッシュ監督映画への出演でも知られるジョン・ルーリーの個展「Walk this way」、上野の東京国立博物館では、京都を代表する寺院「東寺」から15体の仏像曼荼羅を見ることのできる「国宝 東寺ー空海と仏像曼荼羅」がそれぞれ開催中。また、少し足を伸ばして神奈川・箱根のポーラ美術館では、「印象派、記憶への旅」と大山エンリコイサムの個展「Kairosphere」が開催されている。

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