EXHIBITIONS

特別展

没後25年記念 東山魁夷と日本の夏

2024.07.20 - 09.23

東山魁夷 満ち来る潮 1970(昭和45) 紙本・彩色 山種美術館

 山種美術館で、特別展「没後25年記念 東山魁夷と日本の夏」が開催されている。

 四季を通じて自然との対話を重ね、様々な風景を描いた東山魁夷(1908〜1999)。海山の自然から古都の町並みにいたるまで、詩情豊かに表された作品は、没後四半世紀を経たいまも人々から愛されている。

 今回、山種美術館では、所蔵する魁夷の作品を全点公開し、季節感にあふれた風景画を紹介。さらに、浮世絵から近代・現代日本画にいたる夏をテーマにした名品や、涼しさの感じられる優品を選りすぐり、紹介する特別展を開催。

 なかでも注目すべきは、普遍的な日本の海のイメージと伝統的な日本絵画の装飾性が融合した幅9メートル超の大作《満ち来る潮》。皇居新宮殿にある魁夷の代表作と同趣作品を、同館初代館長・山﨑種二が画家に制作を依頼した逸品だ。また、作家・川端康成の言葉を契機に、魁夷が京都の風情と季節の移ろいを格調高く描いた連作「京洛四季」も見どころのひとつとなっている。

 本展では、白波の立つダイナミックな海原を表現した《満ち来る潮》を筆頭に、日本の海と銀色の月を描いた横山大観の《夏の海》、青い浴衣姿の女性の一瞬の佇まいをとらえた上村松園の《蛍》など、目にも涼やかな作品を取り揃えている。

 東山魁夷の風景画と日本の夏を描いた優品を通じ、爽やかなひとときを過ごしてほしい。

 ※本文中の作品はすべて山種美術館所蔵