日本現代版画商協同組合(日版商)が、平山郁夫、東山魁夷、片岡球子の3作家の版画作品10点の贋作が流通していることを確認した。これを受けて、贋作を販売した可能性のある百貨店も対応を行う事態となっている。
日版商の理事長・青木康彦によれば、今回、贋作を販売したのは日版商の会員だった画商。贋作の存在を疑った別の複数会員が、2020年の春ごろより調査を開始し、秋口には贋作制作の証拠を入手。関わった画商も贋作の制作を認めた。同協会は臨時総会を開き、12月14日に画商を除名処分としている。
今回、贋作の制作に関わった摺師が3作家以外の贋作を制作していたとの報道もあるが、他作家の贋作の存在を決定づける報告は、2月9日現在日版商には届いていないとのことだ。
事件を受けて、日販商を始めとする版画の業界団体や、他分野の美術に関係する業界団体、業者間のオークションを主宰する代表者などが集まり、共同で事件に取り組んでいくことを確認。「臨時偽物版画調査委員会(仮称)」を設立し、同委員会が中心となって今回の件に対応するという。
また、これまで、国内では版画作品の鑑定を行う組織がない状況だったが、本件を受けてこれまで版画の鑑定を行ってこなかった一般財団法人東美鑑定評価機構鑑定委員会(旧東京美術倶楽部鑑定委員会、以下東美鑑定委員会)が、問題となっている3作家10点について鑑定を実施。今後は「臨時偽物版画調査委員会(仮称)」から、東美鑑定委員会に真贋鑑定を依頼をするかたちで、問題となっている作品の真贋を判断していく。
株式会社そごう・西武も、今回の贋作制作の発覚を受けて対応を発表。2009年~20年に販売した3作家の版画作品10図柄、計71点について、購入した顧客に連絡をしたうえで作品を預かり、東美鑑定委員会にて真贋鑑定を実施する。贋作と判明した場合には、同社が販売した価格での引き取りを提案するという。
なお、今回の件を受けて日版商は声明文を制作中であり、後日ウェブサイトに掲載する予定だ。