EXHIBITIONS

TARO賞の作家III 境界を越えて

2023.10.14 - 2024.01.14

メインビジュアル

 川崎市岡本太郎美術館で 「TARO賞の作家III 境界を越えて」が開催されている。

 既存の美術の枠組みを超え幅広い分野で活動し、常に社会と関わり力強いメッセージを発信し続けた岡本太郎。岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)は、岡本太郎の精神を継承し、自由な視点と発想で、現代社会に鋭いメッセージを突きつける作家を顕彰するべく創設された。これまで26回を数えるTARO賞からは、国内外で活躍する作家を数多く輩出している。同館では、本賞の受賞作家による選抜展を 「TARO賞の作家」というシリーズで開催してきた。

 シリーズの第3回となる本展では、「境界」をテーマに内海聖史、大西康明、若木くるみの3名の作品を展示している。

 色彩豊かな絵画作品を制作する内海聖史。内海は、絵画は画面だけで完結するものではなく、空間の中に様々に配置することで、観る者の動きや感覚に働きかけるものとして、絵画のあり方を問いかける。「あること」と 「ないこと」の関係性を、一貫したテーマとして作品を制作する大西康明。私たちの日常の中に確かに在りながら、とらえられない事象を作品によって顕在化する。大学で木版画を学んだ後、自身が作品の一部となるパフォーマンス作品でTARO賞に参加した若木くるみ。森や波などの自然や日用品など、私たちの身の回りにある多様な素材を使い、版画の可能性を探る。

 3名の作家が紡ぐ様々な 「境界」は、私たちが自己の存在や自分を取り囲む世界について再考し、新たな視点を得るための手がかりとなるだろう。