今回の藤田美術館中国美術コレクションセールは、2000点以上にのぼる日本と中国の美術品を網羅し、国宝9点、重要文化財52点を有する大阪の私立美術館・藤田美術館が同館建て替えを含む、館全体のクオリティー向上を図るために作品を出品したもの。
特筆した来歴を持つ殷周時代に祭礼に用いられた青銅器や、古書画など貴重な作品の数々に世界各国より強い関心が寄せられ、オークションは大きな反響を呼んだ。トップロットとなったのは宋時代の龍図の名手・陳容(ちんよう)が描いた《六龍図》で、落札価格は4896万ドル(約56億円)。これは当初の予想落札価格120万〜180万ドル(約1.3億〜2億円)を大きく上回っている。
乾隆帝が所有したものとして清代宮廷の書画編纂目録である「石渠宝笈(せっきょほうきゅう)」にも記録されている古書画6点(《六龍図》含む)の総額は1億2千390万ドル(約142億円)の数字を記録した。また、青銅器のオークション・レコードを記録した《青銅儀首饕餮文方尊》は3720万ドル(約42億6000万円)に達し、こちらも予想落札価格600万〜800万ドル(約6.8億〜9億円)を大幅に超える数字となった。
今回のセールに関してクリスティーズのプレジデント、ユシー・ピルカネンは「東洋美術オークションとして最高落札総額を記録しました。クリスティーズは引き続き、アジアの主要なお客様との関係を築くため、近年、上海と北京にもギャラリースペースをオープンしています」と、アジア地域のマーケットに対する期待を語っている。
なお上記の数字はすべて買い手手数料を含む。