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原宿の地でリニューアルしたCCBT。SIDE COREが語るアーティストと都市をつなぐ場のあり方【2/3ページ】

CCBTとの共創

──「アート・インキュベーション・プログラム」は、アーティスト・フェローに対して経済的・環境的なサポートを始め、メンターをはじめとする専門家によるアドバイスや技術支援等、作品制作のための多角的なサポートを行うことを謳っています。SIDE COREが作品を発表するうえで、CCBTとの共創は制作にどのような変化をもたらしましたか?

播本和宜(以下、播本) 「アート・インキュベーション・プログラム」は、アーティストが制作することをサポートし、そのプロセスやアイデアを東京に暮らす人たちと共有していくことだと聞きました。表現を成果物だけではなく、制作のプロセスを重要視するという考えがあります。これを尊重したいと考えている機関は多いですが、現実は理想の域を抜けていません。CCBTは実際にそれを実現しようとしているのが面白いと思います。プログラム初年度となる2022年度のフェローとして「rode work ver. under city」という作品を制作しましたが、テクノロジー面でのサポートの手厚さを感じられましたし、渋谷にメディアアート関連のスペースができるということに対する期待感もありました。

高須咲恵(以下、高須) スタジオなどアートの施設は、作業場の確保の都合もあって郊外にあることが多いですが、渋谷という都市空間の中心に拠点を設けるというのは、おもしろいなと思っていました。雑踏にまみれて「門は開かれている」という姿勢が、よく伝わってきたことを憶えています。

旧CCBTにて、左から播本和宜、西広太志、松下徹、高須咲恵

西広太志(以下、西広) SIDE COREだけでは難しい制作ができたと思います。CCBTは東京都という公の立場から話を通してくれるので、いち個人ではアクセスしづらい場所を撮影地として使いたいときの交渉や、制作環境の調整などに力を発揮してくれました。行政組織や民間企業とアーティストが直接話すと、うまくいくときもあるし、話が通じないときもある。交渉に関して、僕らが自分自身でやらないと、こういう結果が出るのかと驚きました。色々な機関と交渉していく中で、最終的には「担当者が興味持ってくれるかどうか」が鍵ということを知ることができました。

SIDE CORE「rode work ver. under city」(2023年、目黒観測井横 空地) photo:Tada(YUKAI)

播本 メディアアートの流れから生まれてきた施設なので、制作分野に強い人が揃っています。機材や制作環境も充実していて、僕は「とても充実した道具箱」だと考えています。自分に知識が無いものごとについて人に話を聞くとき、そもそも何をどう聞いていいかわからないと思います。そういうときに、こちらの考えを予測して相談に乗ってくれたり、提案をしてくれて、とても助かりました。

高須 担当者とのやり取りも、ぶっちゃけた話からスタートできるのは良かったです。CCBT側からも色々な話や提案をどんどんしてくれるので、アーティストとうまく協働していくかたちを、いっしょに探っているんだという意識を感じます。

西広 僕らは路上からスタートしているし、いまでもすべてにおいてルールのなかで生きているわけではありません。個人的な規模でしかできないこともあるし、大きいプロジェクトだからこそ可能なこともある。この2つの選択肢を持つことができたので、見えるものの幅が広がった気がします。

 CCBTのスタッフも知識や経験が豊富な人が多いですよね。グラフィティ・リサーチ・ラボという団体が2009年代に「アイ・ライター」という目の動きをセンサーで感知して、レーザーで絵や文字を描くというシステムをつくりました。それを使ってALSで体が麻痺してしまった「TEMPT1」というライターが光でグラフィティを描くというプロジェクトがあります。これはストリートアートの歴史ですごく重要なプロジェクトなんですが、「Openframeworks」というプログラムでつくられています。このプログラムをつくるチームにCCBTのテクニカルディクレクターの伊藤隆之さんが参加していたのもびっくりしました。

SIDE CORE「rode work ver. under city」(2023年、目黒観測井横 空地) photo:Tada(YUKAI)

松下 ニューヨークの80年代のアートをみても、NPOが運営しているPublic Art Fundが担った部分がじつはすごく大きい。デイヴィッド・ハモンズもゲリラ・ガールズも、ジェニー・ホルツァーもキース・ヘリングも、ファンドを通して制作をしていますし、彼らの代表作の多くもプロジェクトで制作されたものだったりします。Public Art FundはNPOが運営していますが、ニューヨーク市とかなり深く連携しています。もともと、市の建設予算の1パーセントをパブリックアートに充てる完全な公費プログラムがありましたが、ただ広場にオブジェを置くという形式にとどまらず、それを超える実践のためにPublic Art Fundが一役買ったという感じでしょうか。企画の内部にもアーティストが参加していて、例えば「メッセージズ・トゥ・ザ・パブリック」という電光掲示板にアーティストの作品を写すプロジェクトも、ジェーン・ディックソンというアーティストの提案で始まりました。このように、個人とNPO、企業と行政など異なるレイヤーが同時に関わるから実現できることがあるのだと思います。

高須 美術館で上映される映像作品は「わかる人に届けばいい」という側面もあるけど、SIDE CORE としては誰にでも見てもらいたいと思っています。そうした私達にとっての「開いていく」感覚を、CCBTと共有できていることは嬉しいです。

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