僕たちが彼の作品から学ぶべきは、この創作行為の根源的な必然性にある。美術教育の有無や社会的な評価といった外部の規範とは無関係に、冬馬さんは、彼の世界と彼自身を表現することで、ただひたすら描き続けてきた。彼にとって描くことは、言葉や音に代わる、自己を刻み込む唯一無二の手段であり、過剰な現実と対峙するための生存戦略となった。環境が生むノイズと自らの言葉の不自由さという二重の壁を前に、彼は逃避ではなく創造を選んだ。このクリエイティビティは、彼がこの世界で生きるための、もっとも自然で絶対的な表現だったと言えるだろう。

そして、『TODCi ANiMATiON WORLD』の世界観は、その制作の必然性とスケールにおいて、ヘンリー・ダーガーの『非現実の王国で』に登場するヴィヴィアン・ガールズの物語に比肩する、孤高の表現だ。まだ18歳と若く、その創作の源は尽きることがない。その才能はすでに海を越え、世界的な評価を獲得し始めている。この度、甲谷冬馬さんはニューヨークの老舗ケビンモリスギャラリー(Cavin-Morris Gallery)との契約を結んだ。彼の生み出す、誰にも真似のできない壮大な世界観が、いま、世界を舞台に力強く展開し、今後さらに多くの人々の想像力を揺さぶる日を期待せずにいられない。



















