8人兄弟の末っ子として、この街で生まれた饒波さんは、子供の頃から魚釣りや水生生物の飼育設備であるアクアリウムづくりに熱中した。中学卒業後は、建築関係の仕事をしていた長男の勧めで、工業高校の建築科へ進学。その後も「何をしたらいいのかわかんなかったから」と本州にある大学の建築科へ進んだが、本当は自宅で熱帯魚店をやることを夢見ていたようだ。
そもそも饒波さんが自邸の装飾を続けている理由は、自分の家を好きな植物で360度ぐるりと囲むためだ。当初は、自力で池や花畑のような庭をつくってみたものの、すぐに飽きてしまい、石を積み始めたのだという。
「立体的につくれば360度植えられるじゃないですか。形も自然のような状態で植物を植えたかったからね。そもそも、この2階建ての家を建てたときから、建物の均一な形が気に入らなかったんだよね。だから、もともと庭があった場所に石を積んでいって、現在のような形につくりあげたわけ」。
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