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「森万里子:燦燦」(森美術館)開幕レポート。森万里子、24年ぶりの国内大規模個展【3/3ページ】

自然との「一体性」を求めて

 展覧会の最終セクション「自然とひとつに」では、森が2010年に設立した非営利団体Faou財団の活動を紹介する。同財団は、世界6大陸に恒久的なパブリックアート作品を設置し、人間と自然とのつながりを再認識することを目指している。これまでに、宮古島の《プライマル・リズム:サンピラー(太古のリズム:太陽の柱)》(2011)や、ブラジル・リオデジャネイロの《リング:自然とひとつに》(2016)などを実現してきた。

 宮古島の七光湾に設置された《サンピラー》は、冬至の太陽の動きと連動するように構想された作品だ。古代の人々にとって、太陽の運行は季節や時間を知る手がかりであり、冬至は一年の終わりと新たな始まりを象徴する節目でもあった。森はそうした自然の循環を、現代のパブリックアートとして表現している。

新作映像インスタレーション《すべては輝き》(2026)

 会場では、宮古島に2022年に完成した森のアトリエ「ユプティラ」から望む海の風景や、各地のプロジェクトをまとめた新作映像インスタレーション《すべては輝き》(2026)を、大型LEDスクリーンで紹介する。光や風を取り入れた空間は、都市の高層階にありながら、自然のなかに身を置く感覚をもたらす。

 また、2024年のヴェネチアで発表された《ピースクリスタル》も、同財団によるプロジェクトのひとつだ。太陽光を取り込む仕組みを備えたクリスタルガラスの彫刻で、将来的にはエチオピアへの恒久設置が計画されている。

 記者発表会の質疑応答で、森は宮古島の海に生息する多様なサンゴを例に出し、「人間と自然を分ける境界は、そもそも人間がつくり出した概念なのではないか」と語った。自然から切り離されたように暮らす現代社会において、私たちも自然の一部であるという意識を取り戻すことが、近年の制作を支える重要な考えとなっている。

制作ノートやドローイング、模型、過去の展覧会資料などの展示

 会場にはこのほか、制作ノートやドローイング、模型、過去の展覧会資料なども展示される。1990年代のノートにも、あらゆるもののつながりをめぐる思索が記されており、現在の「Oneness」へと続く関心が早くから存在していたことがうかがえる。

展示風景より

 1990年代のサイボーグから、仏教的宇宙観、脳波を用いたインタラクティブ作品、古代文明と宇宙科学、そして自然環境と結びついたパブリックアートへ。一見すると大きく変化してきた森の表現を貫いているのは、目に見える世界の背後にあるつながりを、いかに可視化し、体験可能なものにするかという問いだろう。

 テクノロジーが急速に進化し、人間と自然との関係があらためて問われる現在、森の30年以上にわたる実践は、科学と精神性を対立するものとしてではなく、世界を理解するための異なる方法として捉え直す視点を提示している。

編集部

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