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「種と根っこ―都市の耕し方」(東京オペラシティアートギャラリー)開幕レポート。都市のなかで、自然とどう生きるか【3/3ページ】

建築、ファッション、身体から考える「都市の耕し方」

 本展では、建築やファッション、パフォーマンスの実践も重要な位置を占めている。建築家の板坂留五は、会場内に茶色いブロックを積み上げ、鑑賞者が腰を下ろしたり、作品を眺めたり、トークイベントを行ったりできる広場のような空間をつくった。ブロックには、以前の展示で使われた発泡スチロールを再利用している。

手前は板坂留五《設え》(2026)

 また、音楽家の櫂快太郎との協働によって、30分ごとに音が響く仕組みも取り入れた。鐘の音や虫を思わせる音、労働歌のような声が、美術館の静かな空間に、共同で働き、暮らす場所のリズムを持ち込む。

 第1回前橋国際芸術祭2026にも参加したファッションデザイナーの山縣良和は、前橋で展開してきた「行列」をテーマとするインスタレーションを本展へとつなげた。子供の成長や教育、戦争といった社会の問題から、衣服や繊維の再生、生命の循環へと展開する作品群が、会場を横断するように配置されている。

山縣良和《Where the story ends –つづくよ つづく–》(2026)
山縣良和《Where the story ends –つづくよ つづく–》(2026)

 西條茜は、身体の内部や臓器を思わせる大きな陶の造形物を展示。作品には水が満たされ、パフォーマンスでは、複数の人々がそれらを動かし、空洞に声や息を響かせ、器から汲んだ水を保良のハッカに与える。異なる作家の作品が、身体的な行為を通じて結びつく試みだ。

西條茜《The Melting Laborers #1-3》(2024)、《The Jar People》(2026)の展示風景

 都市と自然、人間とそれ以外の生物を、対立するものとしてではなく、複雑に関係し合う存在として捉える本展。そこで問われるのは、失われた自然へと単純に回帰することではなく、すでに人間の活動によって変化した環境のなかで、いかに他者や土地との関係を築き直していくかということだ。

 「種と根っこ」というタイトルが示すように、作品を通じて都市の足元に目を向けることは、私たち自身が根を張る場所や、そこで営まれる生活を考え直すことにもつながるだろう。

編集部