制限を個性に変えた、16室の客室
館内には、広さや設備の異なる8タイプ、全16室の客室が設けられている。最上階の3階をメインに、1階と2階にも客室を配置。同じ客室タイプであっても、1部屋ごとにデザインやレイアウトが異なる。これは、建築基準法や旅館業法が定める採光基準(窓の設置)を満たすため、もとの銀行建築の窓割りに合わせて客室をレイアウトしたことが理由のひとつとなっている。また、館内には躯体の一部となっているため壊せない壁もある。リノベーションならではの制限を逆手に取り、それぞれの部屋から建築の魅力がもっとも引き立つ設計がなされ、インテリアもそれに合わせて最適化された。




3階の角部屋に位置する「シグネチャールーム」は、同ホテルでもっとも広い約50平米の客室だ。窓からは尾道を代表する風景である千光寺を望むことができる。仕切りのない開放的な空間には、HOUSE OF FINN JUHLの「JAPAN SOFA」や、ほづみせんいによる月山緞通のウールラグが設えられた。デザインの異なるヴィンテージ照明が複数設置され、昼と夜で異なる表情を見せる。室内には、伝統技法「引き染め」を用いる染色家・中嶋健の作品が2点展示され、空間を彩っている。


唯一のバルコニーを備えた部屋である「バルコニーキング」では、尾道の街の空気を感じながらプライベートな時間を過ごせる。室内には天童木工の「Centro Series」ソファ、シキファニチアのテーブルが並ぶ。また、4人用の「ファミリールーム」には2段ベッドが2台と天童木工の「MathssonSeries」ソファが備わり、グループや家族での滞在に対応する。


ほかにもタイプの違うダブルルームやツインルームが用意されている。客室に展示されているアートの多くは、Backpackers’ Japanのプロジェクトメンバーが声をかけた作家によるコミッションワークだ。ホテルのコンセプトを共有し、この空間のために制作、または選定された作品を館内で見ることができる。中嶋健の作品のほか、広島県出身のデザイナー・小野豊一による作品やアーティスト・はしもとなおこの作品、岩部保多織本舗のタペストリー、Arborのロゴデザインやグラフィックも担当したデザイナー・山口崇多(collé inc)による作品が設えられている。

また運営するBackpackers’ Japanのルーツや、より多くの層の旅人を迎えたいという想いにもとづき、「ドミトリー」タイプの部屋も用意されている。2段ベッドが5台置かれた最大10名利用の男女混合ドミトリーで、各ベッドはカーテンとパネルで仕切られた半ボックスタイプ。尾道や瀬戸内エリアに滞在し、暮らすように旅を楽しむための拠点となる。



















