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「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」(世田谷文学館)開幕レポート。生涯を通じて貫いた「人を喜ばせる」という哲学

東京・南烏山の世田谷文学館で、「アンパンマン」の生みの親として知られる、やなせたかし(1919〜2013)の回顧展「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」が開幕した。会期は9月6日まで。会場の様子をレポートする。

文・撮影=大橋ひな子(編集部)

「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」の展示風景 ©やなせたかし(公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵

 東京・南烏山の世田谷文学館で、「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」が開幕した。会期は9月6日まで。担当は同館学芸員の宮崎京子。熊本市現代美術館を皮切りに全国を巡回してきた本展は、同館での開催後、姫路文学館(9月19日〜11月23日)へと巡回を予定している。

 やなせたかし(本名・柳瀬嵩)は1919年高知県出身。三越百貨店宣伝部を経て漫画家として独立し、舞台美術や作詞、ラジオ・テレビ構成など多方面で活躍した。1961年には作詞を手がけた「手のひらを太陽に」を発表、67年には「ボオ氏」で週刊朝日マンガ賞を受賞した。73年には雑誌『詩とメルヘン』を創刊して編集長を務め、同年には絵本『あんぱんまん』を発表。88年に放送開始されたテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」は、世代を超えて愛される国民的作品となった。

 漫画家、詩人、絵本作家、イラストレーター、雑誌編集者といった多彩な顔を持ち、生涯を通じて「人を喜ばせること」を活動の根源に置いたやなせ。本展は、やなせの出身地・高知県香美市にある「やなせたかし記念館アンパンマンミュージアム」の開館30周年を記念して企画された。会場では、約200点の原画を中心とした総数約400点の作品や資料を通じ、その多岐にわたる仕事を全6章で紐解いていく。

第1章「やなせたかし大解剖」

 第1章「やなせたかし大解剖」では、94年間の生涯で展開された多様な作品世界が紹介されている。多才なクリエイターとして知られるやなせだが、その創作の道のりは決して順風満帆ではなかった。会場では、年表のほかにも、その時々の葛藤や思いを語るやなせ自身の言葉も添えられている。

第1章「やなせたかし大解剖」の展示風景。やなせの年表とともに多様な創作活動を紹介 

 やなせの創作を読み解く重要な鍵となるのが、幼少期からの孤独や、戦争によってもたらされた過酷な経験だ。幼くして父の死や母との別離を経験し、22歳で徴兵され、中国で終戦を迎えた。こうした家族との別れや戦争の記憶が、やなせの創作の根源にある。本章は、こうした戦争体験をはじめとしたやなせの来歴の全貌を示すとともに、やなせの人生そのものを紐解く導入となっている。

編集部