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「秀島由己男展 ダークファンタジー/ミステリアス 水俣が生んだ異才」(熊本市現代美術館)レポート。独創の作家の足跡と、それを育てた風土

熊本市現代美術館で、画家・版画家の秀島由己男(1934〜2018)の四半世紀ぶりの回顧展「秀島由己男展 ダークファンタジー/ミステリアス 水俣が生んだ異才」が開催されている。会場の様子をレポートする。

文・撮影=安原真広(編集部)

秀島由己男《霊歌〈祈り〉》(1991)。秀島が黒人霊歌をモチーフとして制作し続けた「霊歌」シリーズのひとつで、珍しい油彩画

 熊本市の熊本市現代美術館で、画家・版画家の秀島由己男(1934〜2018)の四半世紀ぶりの回顧展「秀島由己男展 ダークファンタジー/ミステリアス 水俣が生んだ異才」が開催されている。会期は6月21日まで。担当は同館学芸員の冨澤治子。

会場エントランスより。メインビジュアルは秀島の写真を中心に、虫や植物、石などの好んだイメージが配されたものとなっている

 秀島由己男は1934年熊本県水俣市出身。若くして両親を亡くし、中学卒業後すぐに就職した。そのため、絵画制作はほぼ独学だったものの、美術評論家・土方定一(1904〜80)、洋画家・海老原喜之助(1904〜70)、版画家・浜田知明(1917〜2018)、歌人・安永蕗子(1920〜2012)、詩人・高橋睦郎(1937〜)などに認められ、活躍していくことになる。作家・石牟礼道子(1927〜2018)の著作の挿絵も多く手がけ、ふたりは互いに世界観を深め合う関係でもあった。

秀島由己男《鳥とはなす石牟礼さん(熊日連載「風の舟」挿絵)》(1994)。秀島自伝の連載「風の舟」の挿絵として描かれた石牟礼道子の顔。身の回りの親しい人を秀島は頻繁に作品に登場させた

 秀島は2018年に急逝する。未整理のまま残されたのは約2200点の代表作品とその原版、試作などの未発表作、制作のための資料、そして収集した美術品や工芸のコレクションだった。これらは遺族により、最期の居住地だった熊本県和水町に寄託。その後、和水町と熊本市現代美術館との共同作業により調査が進められてきた。本展はこの調査の成果を発表する場となっており、1950年代から2010年代の秀島の画業の全貌を260を超える出品点数で振り返るものだ。

編集部