「生誕100周年記念 安野光雅展」(PLAY! MUSEUM)開幕レポート。安野光雅の遊び心と創造の軌跡に出会う【3/3ページ】

 さらに、館内でもっとも広い中央展示スペースには、絵本の世界を体感できる空間が広がる。壁面には「旅の絵本」シリーズや『野の花と小人たち』から厳選された8つの場面が大きくプリントされ、まるで絵本の世界に入り込んでいるかのような体験ができる。囲いには様々な形の窓が開けられており、上空から覗き込むような視点で鑑賞できる仕掛けもユニークだ。

中央展示スペースの足元にあるモニターでは、安野作品をモチーフとしたアニメーションも上映されている
囲いには様々な形の窓が開けられている

 ほかにも、安野が描いてきた「風景」や「歴史」といった普遍的なテーマを再構成した「絵画館」と称する空間も登場。ここでは、シェイクスピア作品をはじめ、『三國志』『平家物語』などの歴史画、世界各国の風景画までが幅広く紹介されている。空間の密度や色彩、モチーフの静と動の関係など、あらゆる点において完成度の高い作品群は非常に見応えがあった。

「絵画館」の展示風景。手前は『平家物語』より《巻第十一 壇浦合戦》
世界各地の風景を描いた一枚絵も多数展示

 「ぼくはなんでも描いてきた」。生前そう語ったという安野は、自身が自己表現に重きをおく「画家」ではなく、なんでも描く「絵描き」であると自認していた。制限をつけず、創作の幅を広げてきたその自由で旺盛な好奇心は、現代を生きる私たちの想像力を刺激し続けてくれる。

展示スペースの外には、安野光雅に影響を受けた現代のクリエイターたちによるインタビュー映像『先生へ』も展示されている

編集部