細部への執拗なまでのこだわりが光るのは、田能村直入の《百花》(1869、山種美術館蔵)だ。清朝の画巻を参照したという本作には、100種にも及ぶ四季の草花が、まるで植物図鑑のような緻密さで描き込まれている。個々の花の凄まじいまでの写実性と、画面全体が放つ装飾的な華やかさ。その双方がせめぎ合う空間は、季節の枠を超えた「花」という存在の極致を提示している。

さらに、荒木十畝の《四季花鳥》(1917)では、画面いっぱいに配された四季の花々が鑑賞者を包み込む。作品の前に立つと、あたかもその豊かな色彩のなかに引き込まれるような感覚に陥るはずだ。

このほか、千住博や重政周平といった現代の画家による作品も並ぶ本展。時代を超えて愛される「花」というモチーフを通じて、日本画の奥深い魅力を再発見できることだろう。瑞々しい感性が息づく名画の数々を、ぜひ会場で体感してほしい。

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