特別展「花・flower・華 2026」(山種美術館)開幕レポート。横山大観、川端龍子らが描いた花で一足早い「お花見」を【2/2ページ】

 細部への執拗なまでのこだわりが光るのは、田能村直入の《百花》(1869、山種美術館蔵)だ。清朝の画巻を参照したという本作には、100種にも及ぶ四季の草花が、まるで植物図鑑のような緻密さで描き込まれている。個々の花の凄まじいまでの写実性と、画面全体が放つ装飾的な華やかさ。その双方がせめぎ合う空間は、季節の枠を超えた「花」という存在の極致を提示している。

展示風景より、田能村直入《百花》(1869、山種美術館蔵)の部分

 さらに、荒木十畝の《四季花鳥》(1917)では、画面いっぱいに配された四季の花々が鑑賞者を包み込む。作品の前に立つと、あたかもその豊かな色彩のなかに引き込まれるような感覚に陥るはずだ。

展示風景より、荒木十畝《四季花鳥》(1917、山種美術館蔵)

 このほか、千住博や重政周平といった現代の画家による作品も並ぶ本展。時代を超えて愛される「花」というモチーフを通じて、日本画の奥深い魅力を再発見できることだろう。瑞々しい感性が息づく名画の数々を、ぜひ会場で体感してほしい。

展示風景より、左から重政周平《素心蝋梅》(2023)、林功《月の音》(1975)

編集部