mamoruと同様に、鳥取を何度も訪れ制作を行ったのは、アーティストの遠藤薫だ。各地を旅しながら、その地に根ざした工芸と歴史、日常生活、政治の関係性を紐解き、工芸を拡張する活動を展開している。そんな遠藤は、鳥取という土地を、魑魅魍魎が潜む余白のある土地だと表現する。この土地に複数回通ううちに、何度も遠藤は予知夢を見た。リサーチを進めるなかで、自身が見る夢は鳥取に伝わる神話とつながっていることが明らかになったという。会場では、そのリサーチの過程と遠藤の心の動きを示した日記的なテキストも掲示されており、この不思議な出来事を鑑賞者が追体験できるようになっている。


キプロス出身のアーティスト/リサーチャーであるマリアンナ・クリストフィデスは、本展のために制作された新作のサウンドインスタレーション《Restor(y)ing Watersー水を復らせ、語り直す》 を展開している。本作はアテネを拠点とする移民・難民女性のための非営利団体に参加するアフガニスタン、コンゴ、エジプト、ガボン、レバノン、フィリピン、ウクライナの各国出身者とともに制作したもの。「水」を切り口に彼女たちの心の傷や記憶、困難な現実について語られる。しかしそれはまた、生き延びるための力についての語りでもあるとマリアンナは捉え、エネルギーを想起させるケーブルや銅線を編み込んだ彫刻とともに空間を構成した。

1993年から4年間にわたり、「ダムタイプ」のパフォーマーとして活動していたアーティスト・高嶺格は、近年彫刻とパフォーマンスを融合させたような作品を制作している。本展で紹介される作品は1点だが、会場に入った瞬間にその存在感に気押される感覚を覚える。
2023年から高嶺が発表してきた《脱皮的彫刻》は、全身を石膏で塗り固められた人物が、その「殻」を自ら破って「脱皮」するというパフォーマンス作品であったが、近年は「抜け殻」のみを彫刻作品として展示している。そんな《脱皮的彫刻》の新作である本作は、昨年行われた同館の竣工式に着想を得たもの。櫓の上から作品を見下ろすと、いくつかの像だけ光っていること気づく。この光景を竣工式の写真と照らし合わせてみると、光っている像の場所は式で女性が座っていた席だとわかる。竣工式に参列した130名のうち、女性はたったの6名であった。この事実を受けて制作された本作は、その異様さを直感的に感じられる鑑賞体験を提供している。






















