会場は6章構成で、基本的には時代の流れに沿うかたちで展示が行われている。第1章「スウェーデン近代絵画の夜明け」では、フランスやドイツの美術の影響を受けていた19世紀なかばまでのスウェーデン絵画を紹介する。

19世紀なかば頃までにスウェーデン独自の絵画の確立を目指したニルス・ブロメール(1816〜1853)は、北欧の神話や民間伝承を主題とした最初の画家とされている。いっぽうで19世紀後半に入ると、スウェーデン人の「心のふるさと」であるターフブ地方の夏至祭など、庶民の日常生活や祭祀をテーマにえがいたキーリアン・ソル(1818〜1860)や、スウェーデンの中部の湖水地方を題材にしたエードヴァッド・バリ(1828〜1880)といった画家によって、スウェーデンらしい生活や風土が題材とされていく。


第2章「パリをめざして フランス近代絵画との出合い」では、パリで近代絵画を学び、やがて母国の美術を変えていく新たな世代だった画家たちを紹介。
1870年代後半から、スウェーデンの多くの若い画家たちは、新しい表現や価値観と指導を求めて、フランス・パリへ向かった。当時のパリは印象派が花開いた時代だったが、ほかの外国人画家とは異なり、スウェーデンの画家たちは意外にも一部を除いてその影響を大きくは受けなかった。むしろ、スウェーデン画家を魅了したのは人間や自然の姿をそのまま写し取ろうとする自然主義や写実主義で、バルビゾン派のジュール・バスティアン=ルパージュやジュール・ブルトンらの作品を好んだという。

この傾向は顕著で、例えばフランスで絵画を学んだ画家の先駆けであるヒューゴ・サルムソン(1843〜1894)は、ジャン=フランソワ・ミレーやバスティアン=ルパージュの影響を受け、労働にいそしむ農民たちを描いている。また、エリーサベット・ヴァーリング(1858〜1915)やアーンシュト・ヨーセフソン(1851〜1906)は、フランスで学んだ色彩や光の表現を巧みに作品に取り入れた。


いっぽうでカール=フレードリック・ヒル(1849〜1911)のように、印象派の影響を強く受けた画家も存在し、《花咲くリンゴの木》(1877)の枝ぶりを描く荒々しいタッチや、複雑な光の表現などは、印象派からの強い影響が認められる。




















