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「中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ」(静岡県立美術館)開幕レポート。絵画にこそ宿る変革への予感

静岡市の静岡県立美術館で、今年1月に逝去した美術家・中村宏の回顧展「中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ」が開幕した。会期は3月15日まで。会場の様子をレポートする。

文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)

展示風景より、中村宏《4半面の反復(1)~(3)(5)(6)(8)~(12)》(2019)静岡県立美術館蔵

 静岡市の静岡県立美術館で、今年1月に逝去した美術家・中村宏の回顧展「中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ」が開幕した。会期は3月15日まで。担当は同館上席学芸員の川谷承子。

展示風景より、左が中村宏《車窓篇TYPE5(ドリル)》(1978)

 中村宏は1932年静岡県浜松市生まれ。1951年に上京して日本大学芸術学部へ進学し、学生運動が高揚するなかで青年美術家連合に参加。米軍基地拡張反対運動の現場でのスケッチをもとに描いた《砂川五番》で高い評価を受け、「ルポルタージュ絵画」の画家として知られるようになる。1950年代末からは、映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインのモンタージュ理論を応用し、社会的主題と前衛的表現を結びつける試みへと展開した。以降、画面にセーラー服の女学生や蒸気機関車など、少年期の記憶に結びつくモチーフを登場させていく。60年代からは、絵画を「精神的労働の場」と位置づけ、それ以降も「タブロオ機械」「絵図連鎖」など独自の方法論を実践し、一貫して具象絵画の可能性を追求してきた。2022年からは自身の戦争体験をルポルタージュした「戦争記憶絵図」に取り組んできたが、今年1月8日に93歳で逝去した。

展示風景より、中村宏《円環列車・A一望遠鏡列車》(1968)

 本展は、中村の代表的な作品を全5章にわたり展示し、その画業を振り返るものとなっている。