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「開館40周年記念 路傍小芸術」(新潟市美術館)開幕レポート。いつもそばにあったものを憶えていたい【2/5ページ】

 本展を担当した藤井は、かねてより新潟の屋外彫刻に関心を持ち、撮影を続けてきたという。藤井が自ら撮影し記録した、郷土の彫刻家である金子直裕(1915〜1997)や、あるいはコンクリート仏師として知られる福崎日精(1905〜1969)の作品は興味を惹かれるが、もっとも注目すべきなのは早川亜美(1912〜1980)のセメント彫刻群だろう。

展示風景より、金子直裕の作品群

 早川は新潟市にアトリエを構え、多種多様な彫刻をつくり出した。小・中学校には希望や成長をテーマにした抽象的な彫像を、排水機場には水神をモチーフにした彫像を、そして競技場では縄文時代の火焔土器をモチーフにした聖火台をつくるなど、地域の公共事業の要請に沿いながら作品制作を行った作家だといえる。いずれも街の様々な場所に点在し、作家名は知られずとも人々の記憶の片隅に残った作品だが、セメント彫刻の寿命は短く50年とも言われている。いずれは失われてしまうであろう風景を紹介する、藤井の試みを楽しんでほしい。

展示風景より、早川亜美のセメント彫刻の記録写真

 『車掌』は、1987年以来、詩人の塔島ひろみが刊行を続けているミニコミ誌だ。その内容は実験的であり、例えば新品の画鋲を持ち歩き、行く先々で見つけた画鋲と交換、その画鋲を刊行する号の全冊に刺していくといった、意味のない行動が組み込まれている。最新の27号は冊子ではなく「かるた」になっているが、展示されているものは「よ」と「だ」で構成されており、文面も絵もにわかには意味内容が取れない、ナンセンスを極めたものとなっている。街の片隅でこうした刊行物をつくり続けている表現者がいるという事実に驚嘆せざるを得ない。

展示風景より、『車掌』27号

編集部