静岡県議会がヴァンジ彫刻庭園美術館の跡地利用のための予算を可決。施設・土地を有効に活用した「新たな文化施設」へ

今年9月に閉館したヴァンジ彫刻庭園美術館の跡地利用の予算を静岡県議会が可決。美術館の施設・土地を有効に活用した静岡県の「新たな文化施設」とする方向性を打ち出している。

ヴァンジ彫刻庭園美術館

 新型コロナウイルスの影響により経営難に陥り、今年9月に閉館した静岡・長泉町のヴァンジ彫刻庭園美術館。閉館前の21年10月より、静岡県に対して施設及び土地の無償譲渡を含む存続に向けての支援の申し出をしていた同館の跡地を活用するための予算が静岡県議会の12月の定例会で可決された。

 今年7月にクレマチスの丘広域的活用構想検討会議により公表された「クレマチスの丘広域的活用構想(案)」では、ヴァンジ彫刻庭園美術館施設を含むクレマチスの丘エリア(開館中のベルナール・ビュフェ美術館や長泉町井上靖文学館を含む)を東部地域の文化拠点のひとつに位置づけ、ヴァンジ彫刻庭園美術館の施設・土地の寄付を受け入れ、跡地を有効に活用した静岡県の「新たな文化施設」とする方向性を打ち出していた。

ヴァンジ彫刻庭園美術館の内観

 同会議は新施設のコンセプトとして「県立施設等のサテライト機能や新たな文化事業の展開」「市町事業の展開」「施設・庭園を活用した多目的利用」を掲げている。

 「県立施設等のサテライト機能や新たな文化事業の展開」としては、静岡県立美術館やふじのくに地球環境史ミュージアム等県立施設の企画展や、SPAC(Shizuoka Performing Arts Center)の公演、ふじのくに芸術祭等の県事業をサテライト実施。さらに、新たにアートセンター機能を付加し、県民の創造性を高め、アートを通じた新たな人の流れを創出するとしている。

 「市町事業の展開」は、地域の文化力のさらなる向上のため、施設内に東部・伊豆地域の市町などが利用できる場を確保し、市町の文化事業や教育事業等を実施。

 「施設・庭園を活用した多目的利用」では、講演会・レセプション、ウェディングの開催、ファッション誌等のロケーション貸しなど、施設や庭園を多目的に活用することを想定している。

ヴァンジ彫刻庭園美術館の庭園

 また、今後は本施設の開設にあたり、県(新たな文化施設)、ベルナール・ビュフェ美術館、長泉町(井上靖文学館、駿河平自然公園)による連絡会を立ち上げ、クレマチスの丘の一体的な広報、共同事業の実施など、利活用促進を検討、推進する体制を構築する予定だ。

 予算が承認されたことにより、上記のコンセプトの実現に向けて具体的な利活用計画を策定していくが、民間の活力を幅広く取り入れる等の意見も議会では出されており、全体像の確定まではまだいま少しの時間を要する。

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