画家・中村宏が逝去。「ルポルタージュ絵画」など独自の絵画表現切り拓く

画家・中村宏が1月8日、膵臓がんのため93歳で逝去した。

自宅アトリエでの中村宏 2025年11月16日 写真提供=ギャラリー58

 画家・中村宏が1月8日、膵(すい)臓がんのため93歳で逝去した。ギャラリー58が明らかにした。

 中村宏は1932年静岡県浜松市生まれ。51年に日本大学芸術学部美術学科に入学。50年代より政治・社会的事件を題材にした「ルポルタージュ絵画」の旗手として注目を集めた。60年代以降は「モンタージュ絵画」「観念絵画」「タブロオ機械」など独自の方法論によってタブローを理論化し、セーラー服の女学生や機関車、飛行機などのモチーフを記号的に用いながら、一貫して具象絵画の可能性を追求。自らを「絵画者」と名乗り、70年以上にわたって独自の絵画表現を切り開いた。また2022年からは、自身の戦争体験をルポルタージュした戦争記憶画に取り組んでいた。近年の個展には、「中村宏|図画事件1953-2007」(東京都現代美術館、名古屋市美術館、2007)、「タブロオ・マシン〔図画機械〕-中村宏の絵画と模型」(練馬区立美術館、2010)、「絵画者・中村宏展」(浜松市美術館、2015)などがある。

 ギャラリー58によると、11月までは自宅で穏やかに過ごしていたが、体調不良を訴えて12月半ばに入院し、治療を続けていたという。

 なお1月20日からは静岡県立美術館で回顧展 「中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ」が、2月12日からはギャラリー58で個展「中村宏 絵画者の軌跡 1953-2025」 が予定されている。