「TERRADA ART AWARD 2025」5組のファイナリストが新作を披露。天王洲で2月1日まで入場無料で開催

寺⽥倉庫で「TERRADA ART AWARD 2025 ファイナリスト展」が開催中だ。会期は1月16日〜2月1日。

左から黒田大スケ、小林勇輝、是恒さくら、谷中佑輔、藤田クレア Photo by Takanori Tsukiji

3回目を迎えた「TERRADA ART AWARD」

 天王洲の寺田倉庫G3-6Fにて「TERRADA ART AWARD 2025 ファイナリスト展」が開幕した。会期は1月16日から2月1日まで。入場無料。

 「TERRADA ART AWARD」は、世界で活躍するアーティストの輩出を目指し寺田倉庫が主催するアワードで、今回で3回目を迎える。作品内容と展示プランをもとにファイナリストを選出し、展示機会の提供と制作費支援としての賞金授与を行う。過去の受賞作家の活躍もめざましく、たんなる賞にとどまらない長期的な支援プログラムとしての側面も持つ。

 最終審査員を務めたのは、金島隆弘(金沢美術工芸大学 准教授)、神谷幸江(国立新美術館 学芸課長)、寺瀬由紀(アートインテリジェンスグローバル ファウンダー)、真鍋大度(アーティスト、プログラマ、コンポーザ)、鷲田めるろ(金沢21世紀美術館 館長)の5名。本アワードでは各審査員がそれぞれ1名のファイナリストを選出し、自身の名を冠した賞を授与する形式をとっており、5つの異なる視点から選ばれた多様な顔ぶれが揃った。本展で披露される新作を、コメントとともに紹介していく。

左から金島隆弘、寺瀬由紀、真鍋大度、鷲田めるろ、黒田大スケ、小林勇輝、是恒さくら、谷中佑輔、藤田クレア

藤田クレア(真鍋大度賞)

 会場入って右手にあるのは、真鍋大度賞を受賞した藤田クレアのコーナーだ。

 藤田は機械と自然由来の素材を組み合わせ、社会構造や人間関係における葛藤を出発点に作品を制作している。展示空間では、ハエトリソウやユリといった植物が機械装置と接続され、静かに、しかし確実に動き続けている。一見しただけでは何が起きているのかわからないが、ゆっくり観察することで仕組みが見えてくる。たとえばハエトリソウが口を閉じると、その信号がレコードプレーヤーに送られ、音楽が再生される。

藤田クレアの展示風景

 「現代社会ではスピードや効率が重視され、他者や環境と丁寧に関係を育むことが難しくなっている。植物の生き方は、歩み寄ることの大切さを静かに教えてくれる」と藤田は説明する。

藤田クレア Reaction ~ver. Dionaea muscipula~ 2025

 真鍋は藤田の作品について「急ぐほど見落とすものが増えるという事実を、体験として手渡す」と語った。

左から藤田クレア、真鍋大度

是恒さくら(神谷幸江賞)

 反対側には、神谷幸江賞を受賞した是恒さくらの作品が並ぶ。是恒は10年以上にわたり、クジラと人間の関わりをテーマに国内外でフィールドワークを重ねてきた。各地を訪れるなかで、かつて捕鯨で獲られたクジラに由来する素材が自然と集まるようになったという。

是恒さくら

 「現代の生活から姿を消しつつある素材と技を、空想の玩具を作ることで残せないか模索している」と是恒は語る。その代表的な素材が「クジラのヒゲ」で、かつてはコルセットや様々な道具の部材として使われていた。今回展示されている玩具は、一つひとつが実際の体験談や聞き取りをもとに作られている。

是恒さくらの展示風景

 神谷は「消えゆく物語や技術を架空の玩具という形で視覚化し、記憶として伝えようとする試み。遊ぶという行為を通じて、環境危機や文化の喪失が私たちの足元から地続きであることに気づかせてくれる」とコメントした。

是恒さくらの展示風景

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