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「知覚の大霊廟をめざして──三上晴子のインタラクティヴ・インスタレーション」開幕レポート。インタラクティヴ作品を通じて、自らの知覚とインタラクションのメカニズムに向き合う【2/5ページ】

 次に向かったのは、《Eye-Tracking Informatics》(2011/2019)の展示室だ。体験者の視線を視線入力装置によって感知し、その軌跡を仮想の三次元空間内に生成していくインスタレーション作品で、予約制でひとりずつ体験することができる。

展示風景より、《Eye-Tracking Informatics》(2011/2019)

 原型となっているのは、アーティストとキヤノンのエンジニアとのコラボレーションにより作品制作を行うキヤノン・アートラボで、三上が1996年に発表した《モレキュラー インフォマティクス—視線のモルフォロジー》である。同作は2002年までにVer. 4.0までアップデートが重ねられた。それから、およそ7年を経て同作品を再制作する機会が生じたが、コンピュータの処理速度の大幅な向上により、視線の軌跡を描画するスピードが飛躍的に高まったことや、音響システムが三次元音響へ構成し直されたことなどから、新作としてタイトルが改められた。

 体験者は、視線の動きと方向を計測できるゴーグル型のデバイスを装着し、視線の向きによって仮想空間を浮遊することができる。「視ることそのものを視る」「リアル・ヴァーチュアリティ」というコンセプトは前作から引き継がれており、鑑賞終了後には、体験中の自身の視線による移動の軌跡でできたヴァーチャルな立体物がスクリーンに映し出される。その彫刻的なかたちで立ち現れる軌跡こそが、「視ることそのものを視る」を具現化したものだと言えるだろう。

展示風景より、《Eye-Tracking Informatics》(2011/2019)。写真は、体験後に映し出される視線の軌跡

編集部