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「LOVE いとおしい…っ! -鏑木清方の恋もよう、奥村土牛のどうぶつ愛-」(山種美術館)開幕レポート。たくさんの「LOVE」を日本画で【3/4ページ】

 清方と土牛以外にも、多彩な作品が同館コレクションから選ばれ展示されている。晴れ着を身にまとったあどけない長女の姿を描いた小茂田青樹の《少女坐像》(1931、昭和6)や、同館では珍しい洋画作品である小出楢重《子供立像》(1923、大正12)といった子供を描いた作品は、いまも普遍的な「LOVE」のかたちを体現しているといえる。

展示風景より、左から小茂田青樹《少女坐像》(1931、昭和6)、小出楢重《子供立像》(1923、大正12)

 いっぽうで、井原西鶴『好色五人女』の題材でもある、恋人を失い茫然自失とする「お夏」を描いた池田輝方《お夏狂乱》(1914、大正3)や、虚ろな目をした男女と怪しげなカラスが印象的な北野恒富《道行》(1913頃、大正2頃)なども展示されている。福富太郎コレクションの名品とされるこれらの作品に見られるような、哀しく、そして退廃的でありながらも美しい作品もまた「LOVE」のあり方だ。

展示風景より、池田輝方《お夏狂乱》(1914、大正3)
展示風景より、北野恒富《道行》(1913頃、大正2頃)

編集部