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「LOVE いとおしい…っ! -鏑木清方の恋もよう、奥村土牛のどうぶつ愛-」(山種美術館)開幕レポート。たくさんの「LOVE」を日本画で【2/4ページ】

 いっぽうの土牛は、動物をはじめとした題材をやさしいまなざしで描いたことで、いまも広く人気を集めている。家族愛を感じられる鹿の親子を愛らしく描いた《鹿》(1968、昭和43)や、誕生後すぐの子牛の姿に生命の瑞々しさを見出した《犢(こうし)》(1984、昭和59)、凛々しさのなかにどこか愛嬌がある顔が微笑ましい《シャム猫》(1974、昭和49年)など、そのバリエーションは豊かだ。

展示風景より、奥村土牛《鹿》(1968、昭和43)
展示風景より、左から奥村土牛《山羊》(1951、昭和26)、《犢》(1984、昭和59)
展示風景より、左から奥村土牛《シャム猫》(1974、昭和49年)、小林古径《猫》(1946、昭和21年)

 《浄心》(1957、昭和32)は、中尊寺金色堂の《一字金輪坐像》を描いたものだが、ここには師・小林古径の死に直面した土牛の心持ちが投影されている。土牛が描く仏の姿はたんなる写生を超えて、師を慕う気持ちがあふれ出ており、やわらなか表情が見る者の心をとらえる。

展示風景より、左が《浄心》(1957、昭和32)

編集部