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「LOVE いとおしい…っ! -鏑木清方の恋もよう、奥村土牛のどうぶつ愛-」(山種美術館)開幕レポート。たくさんの「LOVE」を日本画で

東京・広尾の山種美術館で、特別展「LOVE いとおしい…っ! -鏑木清方の恋もよう、奥村土牛のどうぶつ愛-」が開幕した。会期は2026年2月15日まで。会場の様子をレポートする。

文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)

展示風景より、鏑木清方《薄雪》(1917、大正6)

 東京・広尾の山種美術館で、特別展「LOVE いとおしい…っ! -鏑木清方の恋もよう、奥村土牛のどうぶつ愛-」が開幕した。会期は2026年2月15日まで。

 本展は「LOVE」をテーマに日本の近代・現代絵画を紹介するもの。会場には悲恋の物語から動物への愛情まで、様々なかたちの「LOVE」を題材とした作品が並ぶ。

展示風景より、奥村土牛《姪》(1980、昭和55)

 本展で大きく取り上げられているのは鏑木清方(1878〜1972)と奥村土牛(1889〜1990)のふたりの日本画家だ。清方は近松門左衛門の作の浄瑠璃『冥土の飛脚』の、飛脚問屋の忠兵衛と遊女の梅川の悲恋を《薄雪》(1917、大正6)として描いており、逃避を続けるふたりの男女の互いを思いやる心持ちが十二分に表現された本作は、本展のメインビジュアルにも使われている。

展示風景より、鏑木清方《薄雪》(1917、大正6)

 ほかにも清方は、小杉天外の『魔風恋風』や尾崎紅葉『金色夜叉』の口絵なども描いており、その実物も展示されている。いずれも明治期に人気を得た悲恋の物語であるが、日本画とは異なる情報が集約された構図や、美麗な色づかいなど、「卓上芸術」を提唱した清方らしさを存分に感じることができる。

展示風景より、左から鏑木清方《小杉天外著『魔風恋風 中編』木版口絵》(1904、明治37)、《薄雪》(1917、大正6)

編集部