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「国宝 熊野御幸記と藤原定家の書 ―茶道具・かるた・歌仙絵とともに―」(三井記念美術館)開幕レポート。いま改めて知りたい藤原定家の仕事【2/3ページ】

 本展の白眉である国宝《熊野御幸記》は、平安時代後期から鎌倉時代前期の院政100年間には毎年のように行われた上皇・法皇による熊野参詣「熊野御幸」の定家による記録だ。病弱な自身の体調を心配する様子など、行程における生々しい心情が伝わってくる。

展示風景より、藤原定家筆《熊野御幸記》(1201、建仁元年)

 《大嘗会巻》(12〜13世紀、鎌倉時代)は天皇が即位後初めて行う新嘗祭「大嘗会」の三条天皇即位時の記録を、定家が筆写したもの。定家自身が悪筆と述べているように、独特のくずし字や略字が多様されているが、研究によって明らかになった要約から、当時の祭礼の様子をうかがい知ることが可能だ。

展示風景より、藤原定家筆《大嘗会巻》(12〜13世紀、鎌倉時代)

 定家の筆、または定家の筆と伝わる筆跡の断簡「古筆切」の数々は、重要文化財に指定されているものも多い。なかでも古筆手鑑「たかまつ」は定家最晩年の筆とされ、一字ずつ丁寧に書かれたその筆跡は、熟練した優しさが宿る。

展示風景より、藤原定家筆《古筆手鑑「筆林」》(13世紀、鎌倉時代)

編集部

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