東京・丸の内の三菱一号美術館で、1920年代を中心に世界を席巻した装飾様式の「アール・デコ」をモードに追い、現代にも響くその意味と魅力を紐解く展覧会が開催されている。会期は2026年1月25日まで。会場の様子をレポートする。
「アール・デコ」の時代
第一次世界大戦終結後の1920年代、フランスでは華やかな消費文化が開花する。啓蒙主義を経た新たな価値観や生活様式は、産業・技術の発展を背景にひとつの装飾傾向を生み、それは建築、絵画、彫刻にとどまらず、インテリアに服飾をも含んだ生活デザイン全般に及んで世界に影響した。のちに「アール・デコ」と呼ばれるこの装飾様式は、1925年にパリで開催された「現代産業装飾芸術国際博覧会」(アール・デコ博覧会)に由来する。
2025年は、このアール・デコ博覧会からちょうど100年。本展は、これを記念して、1世紀前の「モード」(流行の服飾)を追う。世界有数のコレクションを誇る京都服飾文化研究財団(KCI)より、この時代の選りすぐりのドレス約60点や資料約200点を中心に、同時代の絵画・工芸・グラフィック作品を加えた300点超が集結。豪華で斬新なオートクチュールのコレクションのみごとさ、美しさはもとより、デザインが持つ意味、映し出す社会に、素材や製法の技術から広告手法まで、いかに現代に響き、つながっているかを感じさせる、華麗なタイム・トラベルとなる。
プロローグ「アール・デコ―現代モードの萌芽」では、本展を象徴するドレスや宝飾品で、前世紀に比して、格段に活動的になっていく女性のために新しい局面を迎えたモードが持つ「モデルニテ(現代性)」に、いまへの共鳴を感じることができる。



















































